ピカピカの1年生
□11
1ページ/1ページ
ーーーーー
そして、待ちに待ったその日、岡田くんが車で迎えに来てくれた。
「おはようございます。さぁ、どうぞ」
「おはようございます……失礼しまーす」
彼女でもないのに促されるまま、助手席に座ってしまって、なんだか申し訳ない気持ちになった。私が彼女だったら、ヤキモチ妬いてしまうと思うから。
でも岡田くんは、そんなの全く気にしてないみたいで、やっぱりそういうとこ鈍感なんだって感じた。
「彩希さんは、スイーツがお好きなんですか?」
唐突な名前呼びに少し困惑したものの、なにも突っ込まずに質問に答えた。
「うん。スイーツっていうか、お芋が好きで、特にイモイモマックスは別格で」
「あぁ。そうだったんですね。良かった。イモイモマックスはイモンブランベーゼというのが人気らしいですよ。可愛らしいガラスのカップにあしらわれたサツマイモクリームが、まるで、モンブランケーキのように丸く盛り上がり、とても愛らしい見た目で女性に人気だそうです。使用しているサツマイモは契約農家から取り寄せた厳しい規格をクリアしたブランド芋で……」
「そう!イモンブランベーゼを1号店で食べたことがあるんだけど、ホントに美味しくて」
「そうなんですね。それから、1号店が席数32席なのに対して、2号店は70席と倍以上を用意して、1号店のような長い待ち時間を減らす試みをしているそうです」
「へぇ。めちゃ詳しいんだね」
「はは。ですから、少し郊外の比較的家賃の安い場所で……。でも、見晴らしの良い高台にあり、写真映えの良い店舗で……」
え?今、「はは」って言った?笑ったってこと?相づち的なやつ?
ちらっと顔を見たけど、まっすぐ前を見て運転をしていた。
まさかね。私と2人でいて笑うわけがない。でも、彼女の前とかだと笑ったり、はしゃいだりするのかな。
「さぁ、到着しましたよ」
「すごーい!!」
お店の外観が可愛くて、スマホを取り出して写真を撮る。
「今日はプレオープンで、招待された人だけなので並ばなくてもいいですよ」
「岡田くん!連れてきてくれてありがとう!」
あぁ、岡田くんがめっちゃイケメンに見える。今日は仕事のことで叱られることもないし、最高にカッコいい。まじ神。
「お店を背景に、彩希さんを写真に撮らせて下さい」
「ありがとう!撮って!撮って!」
「すごく喜んで貰えてお誘いしたかいがあります」