ピカピカの1年生

□8
1ページ/1ページ





「もし、村山さんが僕の部屋から出るところを、知り合いに見られたらどうするんですか?
僕と村山さんが、かなり深い仲だと誤解される。
村山さんは昨日と同じワンピースだし、それを知っている人は絶対に勘違いをするでしょう。
つまり、僕は交際していない女性を弄んだことになるんですよ?!世間にそういうやつだと認識されてしまう!」

「はい、すいません……」

「あぁ!もしこのことが村山さんのご両親に知られてしまえば、僕が無理やり乱暴したと、裁判所に訴えを起こされてしまうかもしれない……」


「まぁ、まぁ、落ち着いてよ?今どき、別に一晩泊まったくらいで大げさな……」

「大げさとは何ですか!?村山さんはそういう女性ということですか!?同じ会社の社員として恥ずかしい。僕は幼い頃から、誰に見られても恥ずかしくない生き方をしてきたというのに、村山さんのせいで台無しになっ、て、しま、った。一体、どうして、くれるん、ですか!?」

「……。」

めっちゃ怒ってるし。

あんま意味分かんないし。

別に何もしてないのになんでこんなに怒るかなぁ?
岡田くんを苦手に思う彩奈の気持ちがちょっと分かってきたかも。
しかも、喉の調子が悪いのか、だんだんと声が途切れ途切れになっていって、何がそんなに岡田くんを追い詰めているのか。

それに、まじ、眠い。。


「責任は私がとるから、もう帰っていい?」

「せ、せ、責任って!そんな簡単に言いますけど……!」

もし誰かに何かを言われても、事実をちゃんと説明すればいいだけ。岡田くんの堅物っぷりはみんな知ってるし、何もないって信じてくれるはず。

「じゃあ、また会社で」

「ちょ、ちょっと!責任って!」

「あぁ、私がとるから、もうおやすみ。じゃあね」

早く部屋に帰ってもう1度寝たい。岡田くんの玄関マットも良かったけど、やっぱりベッドでゆっくり寝たい。
いつまでも岡田くんのお説教なんか聞いてたくない。

玄関ドアを開けて、出ていこうとしてるのに、まだ岡田くんが話そうとしていた。
うるさいなぁ。もう聞こえなかったふりして行く。

「あ、ぁ、ぁ、部屋に着いたらLINEを……して……」

ガチャン。


次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ