ほのう

□七
1ページ/2ページ


そして私は、寝室に案内された。小さなタンスと、シングルベッドが1つ置かれたシンプルな部屋。


「来客用のベッドまで用意してあるんだね」

岡な「ここ私の部屋なんですよ。どうぞゆっくりして下さいね」

「えっ?いそろくさんと一緒に寝ないの?」

「あっちに、主寝室がありますよ。たまに、別々に寝たいときもあるんで」

「ありがとうね。おやすみなさい」

「おやすみなさい」


ふわふわのベッドが心地よい眠りへ案内してくれる。
お酒の入っていた私は、横になるとすぐに寝てしまった。
子どもの頃に戻って、美味しいケーキを食べる夢を見た。大きな苺が美味しそうだなんて思っていたのに、何かの気配がして目が覚めた。岡田ななさんが、ベッドに入ってきて一緒に寝ている。なんで?
彼女の足が、私にまとわり付いている。驚いて動けずにいると、腕も回されて抱き付かれた。
もしかして、寝ぼけて、私のこと、いそろくさんと勘違いしてるとか?
あんなに小柄で痩せているのに、こんなに柔らかいんだ。全身が、つきたてのお餅のような、程よい弾力を持っていて、触れている場所が気持ちいい。
成人すると、女性同士でハグをする機会などあまりない。馴れないことをされて、余計に身体がこわばる。
とても再び眠りにつける状況じゃないけど、泊めて貰っている分際で、狭いとか文句は言えない。

窮屈な中にも、人の温もりを感じた。いそろくさんは、いつもこんな気分なのかな。岡田ななさんのことも羨ましいけど、いそろくさんも羨ましいな。


「っ!」


岡田ななさんが、私の胸に手を置いて、触り出したので、さすがに、声をかけて起こす。

「ちょっ、岡田ななさん」

眠りが深いようで起きなかったので、手を掴み、胸から離した。
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ