ほのう
□六
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岡な「あ、目、覚めました?」
「ん?ここどこ?」
岡な「私の家です。村山さん寝ちゃってて、終電も無くなっちゃたし、どうしたら良いか分からなくて」
「あ、ごめんなさい。タクシーで帰ります」
岡な「大丈夫ですか?送っていきます」
私、居酒屋で寝ちゃったの?恥ずかしいし、迷惑かけちゃったし…。頭いたい。出されたお水を飲んで少し落ち着こう。
岡な「よかったら、泊まっていって下さい。今日は、五十六さんもいないし」
タクシー代、結構高くつきそうだから、お言葉に甘えたいけど……。さすがに、そんな訳にはいかないよな…。
返事に困っている私の目の前に、岡田ななさんのキレイな顔が来た。酔ぱらって軽くなっている口から勝手に言葉が出てしまった。
「本当にキレイ」
岡な「何がですか?」
「あぁ、お部屋の中もキレイだなぁと思って」
「今日は、散らかってないんですよ。玄関マットとか、置物とかは、五十六さんのお母さんが買ってくれたんです」
「そうなんだ」
「五十六さん、独りっ子だから、お義母さんも心配なんでしょうね」
私が、ずっと知らなかった情報を、岡田ななさんは惜しげもなく教えてくれる。
岡な「五十六さん、35歳まで結婚しなかったから、それについても心配してたらしいですよ」
「そうなんだ」
岡な「結婚したら、したで、早く孫がみたいって、そればっかりだって」
そうか。当たり前だけど夫婦だから、そういうことをして、子作りとかするんだ。いそろくさんと、岡田ななさんが……。この家で。あの背の高いいそろくさんが、この目の前にいる小柄な岡田ななさんを……。
「あっ。私には直接言ってこないですよ?良いお義母さんです」