ほのう
□四
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営業部のフロアには、大きめのカフェスペースがある。2階には無いこの福利厚生のための施設は、エリートの空気が流れている気がする。優秀な社員のための物で私の物ではない。でも小さな反抗でコーヒー飲む。砂糖もミルクもいっぱい入れて飲む。
茂「中島部長が懲戒になったら、ゆいりちゃん、また営業部に帰ってこれるんじゃね?」
「どうだろうね。私の事、嫌いな人多いと思うけど、私と働きたいって人いるのかな」
茂「なんでそんなに、ネガティブな訳?もっと、自信持ちなよ」
「あっ、いた。私と働きたいと思ってる人」
「誰?」
「文書郵便課にね、岩村さんって人がいるんだけど、凄く私の事、気に入ってくれてるみたいなの」
岩村さんは、背も低くないし、前は海外事業部にいたらしいからスペックは高いはずだし、よく考えたら悪くないかも。私も選んでられる立場じゃないしな。
「あー。あの人、止めといた方がいいよ。女の子見たら誰でも構わず声かけるって有名で、セクハラのクレーム多くて文書郵便課に行ったんじゃなかったっけ?」
「そうなの?」
「確か、五十六さんと同期入社らしいよ。全然違うよね。五十六さんはマジ爽やかじゃん」
そりゃ、いそろくさんと比べたら誰だって悪く見える。
「私、もうそろそろ行かないと」
「頑張ってねー」
この前まで私と同じ所で同じ仕事をしていたのに、今は上の立場にいるかのような同期の社員に手を振られた。彼が上がったんじゃなくて、私が下がっただけなのに。