ほのう

□三
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茂木さんと一緒にエレベーターに乗って上にあがる。どうしてこんな事になったのか知りたかった。

茂「ゆいりちゃんさ、」

「ん?」

「もしかして、だけどさ、、まだ、五十六さんの事好きなの?」

「そんな訳ないじゃん」

「だよねー。不倫なんて幸せになれないよ」

私が入社してからずっと想いを寄せていた人は、半年前に結婚をした。

「不倫も何も、私なんか相手にしてくれないよ」

いそろくさんは、モテた。過去形じゃなくて、今もモテてると思うけど、どんなに綺麗な女の人がアプローチしても全く届かないらしい。ずっと大切にしている人がいるからと、爽やかに断られる。その誠実さが更に好感を呼んだ。
私は、私的な用事で声なんか掛けたことも無かったけど、ずっと好きだった。

上の階に着き茂木さんと一緒に、いそろくさん近づく。

「五十六さん!」


かなり前から、中島部長が不適切な事をしてるというリークがあり、いそろくさんが調査をしていた。最近、女子社員に罪を被せようとしてるのが分かって、尻尾を捕まえたらしい。

茂「いやー。いそろくさん本当スゴいっすねぇ。また出世しちゃうんですか?」

五「出世とか考えてないよ、今、自分に与えられた事をしてるだけだよ」

茂「ふぁぁ。カッコいい」

五「村山さん?だっけ?」

「あっ、はい」

もしかしたら、初めて名前を呼ばれた。もう好きじゃないし、好きになったらダメなのに、心臓がオカシイ。

五「文書郵便課に行ったんだってね」

「はい」

真っ直ぐな目。今、私を見てるの?もっと、メイクちゃんとしてくれば良かった。髪も変じゃないかな??

五「そこに……」

「五十六さん!大変です!!」

誰かが慌てて、いそろくさんを呼びに来て、連れて行ってしまった。


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