学園物語
□飾らない言葉
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「離せよっ!」
腕を掴まれるのは今日二度目だ。
朝はあんなにドキドキしたのに、今はもう消えてしまいたい気持ちでいっぱいだった。
俺は全然恋愛マスターじゃなくて。勝手に勘違いして切り込んでみたけど、この通り玉砕だ。
この場を上手く取り繕うこともできなくて、逃げ出すしかなかった。
泣きそうになってるのを知られたくないのに、この腕を解こうにも離してくれないちゃかに苛立ちをぶつけた。
「離せって!」
ぶんっと勢い良く振り切ると、そのまま走り出そうとした。
それを後ろから抱き抱えられるようにして阻止される。ちゃかの力強さに、手に持ってた弁当を床に落としてしまった。
「待って。ごめん。」
俺は大きく首を左右に振った。
ごめんとかいいから。
離せって…
鼻の奥がつんとして、視界がぼやけていく。