学園物語
□Crazy Rain
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海人にはああ言ったけれど、実はつい昨日、松倉から直球を食らっていた。
「最近俺と前みたいに話さなくない?なんで?」
って。
「そんなことないよ。今も喋ってんじゃん。」
惚けて返しながらも、まともに顔を見ることができなかった。
「そうだけど。なんかさ…」
「なんか、なんだよ。」
「はぁ。もういいよ。」
言葉を交わしながらも全く目線を合わそうとしない俺に苛立ちを隠せず、松倉はため息混じりにそういうとそのまま教室を出ていった。
それっきり、今日になってもお互い一言も声を交わさないままだった。
雨がすっかり染み込んで重くなった靴が、歩く度にグチュグチュと音を立てる。傘はあまり役に立ってないらしく、あちこち濡れて少し寒気すら感じていた。
このまま頭を冷やすのはちょうどいいのかもしれない。
しばらく離れて過ごしていたら、そのうち元通り友達として見れるようになるかもしれない。そうすれば、俺からまた悪戯を仕掛けたり、ふざけて笑わせにかかればいいか。その時は海人にも手伝ってもらおう。また三人でバカなことして盛り上がれるようになるよな。雨降って地固まるっていうじゃん。
そうだそうだ、もっと降り注げ。
行き場のないこの気持ちも、邪な俺の欲望も、全部雨に打たれて流れてしまえ。
そんな俺の願いに応えるかのように、激しさを増した雨の中、俺は家へと向かった。