学園物語
□Crazy Rain
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「いらっしゃいませ…って、ちゃかじゃん。」
「よ。あー冷てぇ。すげぇ濡れた…」
傘を畳み入り口の自動ドアをくぐりながら、びしょ濡れになった制服のズボンの裾を見やる。
この雨で練習が休みになったから、海人のバイト先までDVDを返しに来たんだけど、やっぱ明日にすれば良かったかな。
「部活、休み?」
「うん、雷警報だってさ。」
「うっそ。やばいじゃん。」
海人はカウンターの向こう側で、俺の渡したDVDを取り出して確認し、やや事務的に「ご返却ありがとうございましたー」とお決まりのセリフを口にした。
「暇そうだね。」
店内を見渡しても、客らしい人影はほとんど見えない。
「雨の日はこんなもんだよ。」
「へぇ、そうなんだ。」
まぁ、俺もわざわざ今日来なくても良かったんだけど、なんとなく足が向いて。