学園物語

□In My Room 2
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ヴヴヴッと振動音を立てて松倉の携帯が鳴った。

ギターの話からファッションに話題が移って、二人で雑誌を覗き込んで盛り上がってる時だった。

携帯を手に取ると松倉はポチポチと返信を打ち出した。

「時間、大丈夫?」

「うん、全然平気。」

そう言って携帯を離そうとすると、また受信を知らせる音がなる。

「もーなんだよー後でいいよー」

少し面倒くさそうにそういうと、もう一度手早く返してから携帯をカバンにしまった。

クラスの女子からだったらしい。他愛もない話だったとか。名前が出たその女子の顔を思い浮かべる。確か席替えする前、松倉の隣だった子か。

「お前、女子とメールとかするんだ。」

俺は冷やかし口調で含み笑う。なんとなく面白くない気分は隠して。

「そんなしないよ。最近よく来るけど、なんて返信したらいいかわかんないときとかある。」

「なんで?なんて言われんの?」

俺は雑誌に視線を戻し、軽く聞いてる風に装った。

「えーなんか…今日の髪型良かったね、とか。」

予想外の言葉に、思わず松倉の方を振り返った。

「え?マジで?」

それって、結構直球じゃね?すごいな、女子。

「今日、英語で当てられてたね、とか。」

「確かに、それはなんて返したらいいかわかんねー!」

「だろ?なんなんだろなー…」

きゅっと少し顔を歪めて、困った顔をする。

「そりゃさ、気があるんじゃないの?お前に。」

「それはない。そういうんじゃないんだって。」

俺に向かって、首を振って松倉は否定した。

「わかんないじゃん。」

「いや、違うね。だって……まぁいいや。」

急に口を尖らせて黙った。
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