学園物語
□In My Room 2
1ページ/3ページ
ヴヴヴッと振動音を立てて松倉の携帯が鳴った。
ギターの話からファッションに話題が移って、二人で雑誌を覗き込んで盛り上がってる時だった。
携帯を手に取ると松倉はポチポチと返信を打ち出した。
「時間、大丈夫?」
「うん、全然平気。」
そう言って携帯を離そうとすると、また受信を知らせる音がなる。
「もーなんだよー後でいいよー」
少し面倒くさそうにそういうと、もう一度手早く返してから携帯をカバンにしまった。
クラスの女子からだったらしい。他愛もない話だったとか。名前が出たその女子の顔を思い浮かべる。確か席替えする前、松倉の隣だった子か。
「お前、女子とメールとかするんだ。」
俺は冷やかし口調で含み笑う。なんとなく面白くない気分は隠して。
「そんなしないよ。最近よく来るけど、なんて返信したらいいかわかんないときとかある。」
「なんで?なんて言われんの?」
俺は雑誌に視線を戻し、軽く聞いてる風に装った。
「えーなんか…今日の髪型良かったね、とか。」
予想外の言葉に、思わず松倉の方を振り返った。
「え?マジで?」
それって、結構直球じゃね?すごいな、女子。
「今日、英語で当てられてたね、とか。」
「確かに、それはなんて返したらいいかわかんねー!」
「だろ?なんなんだろなー…」
きゅっと少し顔を歪めて、困った顔をする。
「そりゃさ、気があるんじゃないの?お前に。」
「それはない。そういうんじゃないんだって。」
俺に向かって、首を振って松倉は否定した。
「わかんないじゃん。」
「いや、違うね。だって……まぁいいや。」
急に口を尖らせて黙った。