学園物語
□ずっと同じじゃない
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「ねぇねぇ、クラ〜金貸してぇ〜」
中休み、ちゃかと2人窓際でボーッとしてるところに海人がやってきて、俺の両肩に手を置いてのしかかるといきなりダル絡みが始まった。
「金?ないよ、そんなの。」
「え〜…一枚でいいから。」
「…千円?」
「いや、諭吉。」
「あるか、そんなもん!」
俺はちょっと乱暴に海人の手を振り払ってキッと睨んだ。
「お前バイトしてんじゃん!ぜってぇ俺より持ってるし!」
「え〜…だって銀行行くのめんどくさいんだもん。」
はああぁぁ??
「俺はお前のATMじゃねぇぞ!」
軽く海人を凄んで啖呵を切った。
「…っ!たっはーー!!」
海人がそれに大口開けて笑い出し、それまで横で傍観してたちゃかまで吹き出した。
「ATM!『私はあんたのATMじゃないのよっ!いい加減にしなさい、もう!』っつって。」
「おかんが言いそう!てか俺言われたことあるかも!ひゃっひゃっひゃっ!」
狙ったわけじゃないけどなんだか笑いを取ったみたいで、いつの間にか俺も一緒になって笑い合う。
「『あなたの暮らしをもっと快適に。歩くATM』」
ふざけたポーズを決めるちゃかにまた爆笑する俺たち。
「ちょ、マジでやめて…はぁ。無駄に腹が減る…」
笑いすぎてケホケホむせながら海人が呼吸を整えてる。
平和だろ、俺たち。