学園物語
□Xmasの願い事
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「あの時、ちゃんと言葉にしてくれて嬉しかったのに。でもあんま変わんないっていうか…やっぱ俺ばっか好きなのかなって。手も出してこないし…」
「いや、それはだってさ…」
「だって、なんだよ?」
拗ねて怒って睨んでる松倉に降参するしかなかった。こんな真っ直ぐに来られたら、同じように返すしかない。
「今がまだ信じられなくて、まだ怖いっていうか…」
「怖い?」
「俺がしたいと思ってても、お前は嫌かもしれないしとか…」
「ちゃかがしたいことって?」
「え?それはほら…その…」
「はぁ…」
口籠る俺に松倉の短いため息が刺さる。
「あのさ。俺もお前が思ってる以上に、お前のことちゃんと好きだよ?まだわかんない?手繋いだりしたいし、ハグとかキスとかその先だって…」
「ちょ!待って!ストップ!」
慌てて手のひらを松倉の方へ向けて遮る。
わかった。
嫌がられるのが怖いのもあるけど、それだけじゃなくて、俺はコイツの純粋無垢なところを汚したくないんだ。
本当は自分が一番欲してるのに。
でも本当に俺でいいのかなって。
真っ新で誰も知らないコイツの不可侵領域に踏み入れる勇気がなかったんだ。