学園物語
□Xmasの願い事
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え…?
欲しいモノってキス、とかだったりして…
途端に空気がぎこちなくなった。
松倉は手を口元にやると顔を赤らめてきゅっと目を瞑った。
俺の体は無意識に少し下がって身構えた。
待って。ほんとに?
「…やっぱ無理だよね。ごめん、俺、なんか焦ってるのかな…いや、忘れて?」
手を顔の前で振りながら横を向く。
まただ。
また同じセリフを言わせてしまった。
コイツの精一杯の一歩を無かったことにさせてしまう、それは俺の弱さのせいだ。
でも…
「無理じゃないけど…ほんとにいいの?」
背けた顔をこっちに向けて松倉が小さく頷く。
「でもやっぱお前が嫌だったりしたら…」
「嫌なわけないじゃん。」
松倉の強い一言が俺の言葉を遮る。
「なんでそんなこと言うんだよ。ていうかお前が嫌なんじゃないの?」
「違うよ…」
触れたいとかキスしたいとか抱きしめたいとか…
俺の好きにはそういうものが詰まってる。
でもそれをぶつけるのはまだ怖くて。
松倉が嫌だったらなんて言い訳にして、ただ俺が臆病なだけなんだ。