学園物語
□Xmasの願い事
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「明日、楽しみにしてて。ケーキとプレゼント持ってくるから。」
満面の笑みでこっちを見てる。
「へぇ、すごいじゃん。でも俺、なんも用意してないんだけど…ごめんね?」
っていうのは嘘なんだけど。
そこのクローゼットの中に、こないだから欲しがってた帽子が包んで置いてある。色違いで自分のも買っちゃったし。
ま、それこそ明日のお楽しみで。
でもそれを聞いて松倉は急に黙ってしまった。想像以上にがっかりさせちゃったのかと心配になり、俯く顔を覗き込んだ。
すると俺を遠慮がちにちらっと見返してきた。
「あのさ。俺欲しいものがあるんだけど。」
「お。言ってみ?明日までに用意できるかわかんないけど。」
ネット注文できるもので即日配達だったら…明日の夕方には間に合うかもしれない。
素早く時計に目を走らせてそんなことを考えていた。
松倉は黙ってじっと俺の顔を見つめたかと思うと、すぐに瞬きを繰り返して目線を逸らした。
「…やっぱいいや…」
「なに、気になるじゃん。遠慮すんなって。」