学園物語
□Xmasの願い事
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松倉は側にあったクッションを両腕で抱えてぽふっと顔を埋めた。
「やっぱ言えない…」
なんだよ、そのちょっとめんどくさい感じは。かわいいじゃん!
松倉のすぐそばまで寄ると、俺はその頭に手を伸ばしわしゃわしゃと髪を撫で回した。
「言ってみ言ってみ?可愛くおねだりされたらなんでもあげちゃうかもよ?」
なんておじさんみたいなことを言いながら、松倉が顔を伏せてるのをいいことにデレデレしまくった。
「ほんと?」
「ほんとほんと。」
「…無理だったら…?」
「無理とかあんの。怖ぇ!何強請られるんだろっ!」
茶化して笑った俺を松倉はようやく顔を上げて見た。
でも全然笑ってなくて、それどころか不安そうに俺の目を見つめて、それから口元へ目線をズラした気がした。
そして俯くとキュッと唇を噛んで、また黙ってしまう。