学園物語

□飾らない言葉
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なのにやっぱり離してくれない。

それどころか今度は後ろから包み込むように抱きしめられて、この後に及んでまだトキメいてる自分がいる。

もういいよ…
苦しいよ、ちゃか。

込み上げる涙が零れないように少し上を見た。

その時、震えるちゃかの声が耳のすぐ側で聞こえた。

「…本気にしていいの?」

「…え?」

「俺…ちょっと信じられなくて…」

抱きしめられた腕にぎゅっと力が込められる。ピタッとくっ付いた俺の背中に、すごいスピードで脈打つちゃかの鼓動を感じた。




「俺はきっと…お前が思ってる以上に…お前のことが好きだよ。」




え…?

今、なんて…?



驚いて瞬きをした途端、抱えていた涙が一気に零れ落ちた。

「俺も…お前が誰かのモノになるとか絶対嫌だし、海人にだってヤキモチ焼くぐらいだし…」

「…ほんとに…?」

さっきまで押し潰されそうになっていた悲しみが嘘のように引いていく。

替わりに胸の奥から熱いものが込み上げてきた。

俺はゆっくりちゃかの腕を解くと後ろを振り返った。照れ臭そうに頭を掻くちゃかは、今まで見たことのないような顔をしていた。

「ずっと、我慢してたんだ。一番近くにいれるなら、それでいいって…」

落ち着きなく体を揺すって目を泳がすちゃかは余裕がなくて不器用で、それがとても愛おしく見えた。
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