学園物語

□Xmasの願い事
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抱きしめた松倉が首元でふふっと笑った。

「すげードキドキしてる。」

「うん…ヤバい…」

「ふふ、ちゃかかわいい。」

なんだか余裕がある発言が悔しいな。
けどなんだかすごく…幸せだ。

好き過ぎて
大切にしたくて
怖くて触れない

それじゃ片想いの時と変わんないか。

一方通行じゃなくなった今は

もっと近くに感じて
俺の腕の中で
守りたい

それが許されるなら
それを求めてくれるなら

「メリークリスマス!」

キラキラした瞳で俺に笑いかける松倉は本当に嬉しそうだ。

「もう一回してもいい?」

俺は心が求めるまま素直に言葉にした。

「…もう一回だけ?」

松倉があざとく笑う。

その甘い誘いに気持ち良く酔わされよう。

「じゃあ…7回。」

「7!」

頬に手を伸ばして、笑ったその唇目掛けて迫った。

1回

2回

3回…

軽く触れてちゅっと音を立てて…

胸がきゅっとなる。

甘くて 愛おしくて 幸せで

でも回数を重ねる度に欲が出て離れ難くなる。

もっと…

距離を狭めようと意気込んだ4回目。

カチンッ

「っ!」

「ふふ…んはははは!!」

歯がぶつかり合う衝撃にお互いおかしくって笑いが溢れた。

なんだか気恥ずかしくって胸の辺りがくすぐったいや。

俺はそんな暖かい空気を松倉ごとまた抱きしめた。

残り3回は取っておこう。

俺たちの不器用な恋はまだ始まったばかりだから。


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