清麿x恵
□赤と朱色のハッピークリスマス
1ページ/4ページ
12月24日、今年も聖夜クリスマスが日本にやってくる。オタクの聖地と言われる東京都・秋葉原はたくさんのコスプレに身を包んだ人々で溢れかえっていた。
高嶺清麿を始め魔界の王を決める戦いを終えたパートナーの人間たちも一人一人がそれぞれの日常にもどってはや数年、秋葉原というカルチャーな空間に無縁の清麿がなぜここにいるのか?
それはある人を待っているからだった。メイド喫茶やPRG風の迷路アトラクション、居酒屋など色々な勧誘活動が盛んに行われている賑わいある辺りを無視して、時計台がある噴水にたどり着く。
景色に身を遊ばせ、リュック式のギターケースを背負いながら待っていると、肩が少しむずかゆくなる感じを受けた。そばでは見覚えのあるセミロングの美人がにっこり笑っていた。
「お待たせ!清麿」
「大丈夫だよ、恵。俺も今きたところだから」
「いつもタイミング一緒よね。相性がいいのかしらね?
待ち合わせの相手は、人気アイドルにしてガッシュの幼馴染・ティオのパートナー、大海恵だった。当時敬称付けだった2人がどうして呼び捨てで呼び合っているかは最も長く共闘した同志として気心知れた仲というのもあるが、清麿が共学になった恵の高校に進学したことに伴って正式に男女の関係になったからだった。
まぁ、恵が勉強と芸能活動の両立でなかなか会う機会がないのとバレると色々厄介事が起こるため、彼女が卒業するまでは普通の先輩後輩で通していたが、今はもうメディアや事務所からも実質公認をもらっているため、大手を振ってデートに行ける。
恵の身に纏うオレンジの上着と紺色のロングブーツが似合い、すらっとしたスタイルを引き立てていた。対して清麿が来ているのは緑を基調としてに赤と白のストライプが施されている。
「怪我の方はもういいの?」
「ああ。もう練習や部活の助っ人が前のようにできるまでになったよ」
「本当にありがとう。あの時は私のために戦ってくれて、最後まで私のことを信じてくれて」
数ヶ月前に恵の闇営業疑惑が報じられた時、清麿と彼のクラスメイトたちを含めた一部のメンバーが調査と証拠提出を行い真犯人を撃退したことで、潔白を証明する大仕事をやってのけたことがあった。相手がかなり強大だったのでガッシュたちが既にいない今、完全に生身の対決になり数週間入院になったが、恵がイキイキ仕事に打ち込めることになったことに比べればどうでも良かった。