本編
□kzm
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（かずま）
玄関を開けると見覚えのあるスニーカー
｢ あ、かずま〜 おかえり〜 ｣
上機嫌なおかんと…
｢ かずまくん、おかえり〜 ｣
…おかんの、 彼氏
か｢ ただいま。 ｣
母｢ かずま〜、 ごは…っ ｣
か｢ いらーん ｣
あの人がいると俺はいつもそそくさと
自分の部屋にこもる
｢ やっぱ帰ってた方がよかったんちゃう？ ｣
｢ ただの反抗期やろ？気にせんといてw ｣
｢ ほんまに飯食うたんかな？かずまくん ｣
｢ 友達となんか食うたんちゃう？ ったく
いらんならいらんて言うといて欲しいわ ｣
リビングから微かに聞こえる会話
両親が離婚してから3年
最近になっておかんは男を家に連れて来るようになって
俺と仲良うさせようとしとる。
再婚 … するんかな …
（ ぐぅぅ… ）
ああ … 腹減ったな …
コンビニいこ。
自宅を出てコンビニまで5分…
米系か〜、麺か〜 んー 悩むんよな〜
コンビニが近づいて来てふと店内に
目をやると
｢ げ。 あいつおるし。 ｣
おかんの男。
｢ だっっる… ｣
急遽もうひとつ先のコンビニまで歩くことに
｢ なんであいつおるねん…
ツイてないわ〜 腹減ったしー ｣
さらに歩くこと10分
自動ドアが開き入店を知らせる音が
静かな店内に響く
チロリロリロ〜 ♪
｢ いらっしゃいませー ｣
どこからか店員の声は聞こえるものの
姿は見えない
パスタにするか、カップラーメンにするか
いやそれとも弁当にするかしばらく悩んだ挙句 カゴにカップ麺とおにぎり2つを入れレジへ向かった
… いや、店員いないんかいな。
か｢ すいませーん ｣
｢ あっ、 はーい ｣
奥から足音がしてようやく店員登場
店｢ おまたせしました！ ｣
か｢ … ｣
店｢ こちらお湯入れていかれますか？ ｣
か｢ あー、はい。 ｣
店｢ じゃあお箸入れときますね！ ｣
か｢ あー、｣
出したいポイントカードが見当たらず
財布の中のカードをあさりながら返事だけしていると
店｢こちら温めますか？｣
か｢ …？はい？温めるもん… ｣
こいつなに言うてんねん
俺はカップラーメンと
こんぶのおにぎりとチャーハンのおにぎりを買ってんねんぞ。
温めるってなにを… っ
と、顔をあげると
店｢ あっ… ｣
か｢ あ。 ｣
か｢ お前、なんやったっけ
なまえ… …えっと 、、 ｣
店｢ …♡ ｣
か｢ あ！そうや！♡や！ ！
なにしとんねん w ｣
コンビニの店員は同じクラスの♡
♡｢ …バイト だけど ｣
か｢いやそんなもん見たら分かんねんけど
もう10時過ぎてるやん？ ｣
時計は22時を 15分ほど回っていた
♡｢ 交代する人が寝坊しちゃったみたいで… ｣
か｢ ああそうなん？大変やなー ｣
♡｢ うん、でももう来ると思うからっ
… で、これどうする？温め… ｣
か｢ 温め…？あ、いやこれおにぎりやん？温
しないやつやん？ ｣
♡｢ 温めしてく人結構いるよ？
しないならいいけど ｣
か｢ いやまって！！！｣
♡｢ ？？？ ｣
か｢ 温めたら…うまいんかな？ ｣
♡｢ さぁ？ どうだろう ？ ｣
か｢ 温めるわ！温めて？ ｣
♡｢ はーーーい。｣
♡はめんどくさそーに袋からチャーハンおにぎりを取り出してレンジに入れた
そうこうしてるうちに交代の人が現われた
｢ ♡ちゃん、ごめんなぁ、寝坊してもうてん｣
♡｢ 全然大丈夫ですよ☺ ｣
｢ 今度お詫びさせてなぁ ｣
♡｢いえ、そんな…☺ ｣
と、かわいく笑っていた
寝坊やろうがスタッフルームに入っていくと♡はレンジからおにぎりを取り出し袋に入れた
♡｢ はい、 ありがとうございました
お湯はあちらご利用ください ｣
か｢ …ああ ｣
カップラーメンにお湯を入れている一瞬でレジは♡から遅刻やろうに変わっていた
………
♡の名前がすぐ浮かんでこなかったのにはわけがある
コンビニ外の駐車場の端にしゃがみこみ
ラーメンをすすっていると♡がでてきた
か｢ なぁ！ ｣
♡｢… ？！ ｣
か｢ おつかれさん ｣
♡｢ まだいたの？ ｣
か｢ ちゃうやん、ラーメン食うてただけやんw ｣
♡｢ いや別に待ち伏せてたとか思ってないですけど…｣
か｢ どしたん ｣
♡｢ なにが？ ｣
か｢ ちょっとええから座れや！ ｣
♡｢ えー、さすがにここは無理ー ｣
か｢ ほんなら 、あっちならええ？｣
♡｢ ああ… いいけど、なに？ ｣
か｢ ええからええから、な？寂しいクラスメイトの夕飯に付きおうてくれまへんか？w｣
♡｢ なにそれ、まぁいいけど… w｣
歩いてすぐの公園に移動して
ベンチに腰掛けた
か｢ なんで学校こないん？ ｣
♡｢ えー それ？ なら帰るー ｣
か｢ちょちょちょっ すわれーて ｣
♡｢ なにーーーー？？ ｣
か｢ ええから言うてみ？俺 さまに〜｣
♡｢ は？？｣
か｢ 別に誰さまにも言わへんから〜｣
♡｢ えー 口軽そ… むり…｣
か｢なんやそれ！自分、俺のなにを知ってんねん！口硬いで有名なかずまやぞw｣
♡｢ なにそれ… あははｗｗｗ ｣
さっきまでの冷たい目から一転、
かわいい笑顔を向けてくれた。
か｢ … // ｣
♡｢ じゃあ口硬いで有名なかずま君が
寂しく夕飯食べてる間だけ話しててあげることにするねｗｗ｣
か｢ おん、言うてみ言うてみ ｣
♡｢ 今お母さんが入院しててね〜 ｣
内容とは真逆なテンションで言うもんだからびっくりしすぎて吹き出した
か｢ ぶほ っっ おま…っ それえらいこっ
ゲホゲホっ｣
♡｢ ぎゃっ 汚っ まじむりｗｗｗ ｣
か｢ いや、うん… で？ 続き｣
♡｢ でー、あ、そうそれが入学してすぐだったから……バイト探してすぐ面接してもらってー、その時ちょうど昼間の人が居ないからーって言われて
学校あるから悩んだんだけどすぐ働きたかったから 入ります！やります！って感じで〜｣
か｢ 学校これんくなったっゆうことか｣
♡｢ そっ！！まぁどうせ友達も居ないし別に行かなくてもいいかなー、とかw｣
か｢ なんやねんそれ！俺は友達ちゃうんかい！｣
♡｢ えー、クラスメイト？ 位では？ w ｣
か｢ ひっっどいやつやーｗｗ｣
♡｢ でもお母さんはどうにか高校は…
って言ってるんだぁ｣
か｢まぁそりゃな…｣
♡｢ ゴールデンウィーク明けからは行けるようにシフト組んでもらおうかなー｣
か｢ それがええ ｣
♡｢ で、かずまくんはどうしたの？ w｣
か｢ 俺？ なにがやw ｣
♡｢ こんな時間に制服のまま
公園でカップラーメンって ｣
か｢ 別に夕飯がカップラーメンでなにが悪いんw ｣
♡｢ 悪いとは言ってないじゃんw
なんかあっておうちでごはん食べれないのかな〜〜ってね？ ｣
か｢ ちゃいますーー ｣
♡｢ ちゃうならいいですーー ｣
か｢ 関西弁使うなやエセがｗｗ｣
♡｢ うっっざ ｣
か｢ うっっざーｗｗｗ｣
♡｢ 真似すんな！！！ほらもう食べ終わったじゃん！帰るよ。ばいばい！ ｣
か｢ 残念〜〜 まだありますぅ〜
じゃーーん！！！｣
♡｢ ……｣
か｢ どわっっ、冷めとる！！！
お前が温めてくれたチャーハンが
冷たーくなっとる！！！｣
♡｢ いいじゃん元々温めない派でしょ？w｣
か｢ ちゃうやん！お前があったかいのうまいーゆうから期待しててん、あーショックー｣
♡｢ いいから食べなよｗｗ｣
冷たくなったチャーハンおにぎりを
食べ終わったと同時に♡は
もう食べたね、と立ち上がった
♡｢ じゃあね！ また ！ ｣
か｢ またって、いつやねん ｣
♡｢ だからー、休み明けには行く！！ ｣
か｢ 気をつけて帰りやー｣
♡｢ わかったーー ！｣
……
か｢ あっっっ！！！ ｣
♡｢ え？？？？｣
か｢ 送ろうかーー？ ｣
遠くなった♡に届くように大声で言った
♡｢ すぐだからだいじょうぶーー！！ ｣
か｢ ほんまにすぐなんかーー！？ ｣
♡｢ ほんまにすぐーー！！ ｣
か｢ エセーーー！！ｗｗｗ｣
♡｢ ｗｗｗ ｣
か｢ じゃ、またなー ｣
♡｢ うーん！！｣
か｢ おやすみなー ！｣
♡｢ うーーん！！｣
そう言って大きく手を振ってくれた
♡と話したのは
入学してから数える程度で…
プリント回ってきてることに気づかないでぼけーっとったときと…
授業中爆睡してたときにあてられて
答えわからんときに振り返って教えてくれたときと…
体育のバレーボールの男女混合のチームで一緒になったときに
俺がアタッカー希望したら小さいなんだからやめとけば？と言われたとき…
…あとはさっき。
それだけ。
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