短編
□とある御曹司の初恋事情
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容姿端麗、文武両道で御曹司と様々なスペックを兼ね備えた朱雀奏は、父からの「初恋の女性の娘にあってきて欲しい」との願いの元、聖ブリリアント学園に足を踏み入れていた。
だがどこに居るかも分からない顔も知らぬ少女を探すのは無謀だと思い、奏は目の前を歩いていた女子生徒に声を掛けることにした。
奏「すみません、少しよろしいでしょうか?」
目の前の少女がその声に振り向いた瞬間、奏は激しい胸の高鳴りを感じた。
黒く長い髪を靡かせ、小さな顔に整った造形の顔の大きな瞳がこちらを向くと、より一層その鼓動は激しくなった。
「…あの、何か?」
少女に見惚れていると、訝しげに声を掛けられる。
誠「失礼、成瀬果音という女子生徒が何処にいるか知っているだろうか」
「……すみません、私はその子を知らないので」
誠「いや、こちらこそすまない」
「では、失礼します」
奏がハッと我に返った時には少女は既に第一側近である久遠誠一郎との会話を終え、遠くへと行っていた。
元「奏様…?どうかされましたか?」
言葉を交わせなかった事に落ち込んでいる奏に気づいた第二側近の鏑木元は心配そうに奏の顔を覗き込んだ。
奏「あぁ…いや…」
誠「奏?体調でも悪いのか?」
奏「あの人を見てから何だか脈が速いんだ…」
元「えっ…それってもしかして…あの方に一目惚れしたと言うことですか…?」
奏「そ、そうなのかな…?」
元「あの方のことを考えてみて、あの方とデートしたい、笑い合いたい、キスをしたい、一生を添い遂げたいと思いますか?」
誠「最後のは飛躍し過ぎじゃないか…?」
奏「思う…思うよ元!あの人が僕の運命の相手だ!僕のプリンセス!」
元「そうとなれば、早速あの方について調べて参ります!」
こうして、セレブ王子朱雀奏の前途多難な初恋が始まった…
つづく…?