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□仮想空間
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「ねぇラム
ボクと戦おうよ♡」

「遊んでる場合じゃないよ
早くクロロの念外してあげないと」





ってか自分でクロロと戦いたいとか言ってたくせに
私はまだ未熟とか言ってたくせに



「ねぇラム」

「んー?」

「どうしてクロロがラムの念の先生なんだい?」

「どうして?
私が教えてって頼んだから?」

「ボクの知ってるクロロは
人に念を教えるような人物じゃない♣」

「そんなこと言われても
わかんないよ」

「じゃあ クロロがなぜあんな念かけられたか知ってるかい?」

「知らないけど」



私がやっと頭の隅に追いやったことを持ち出してくるヒソカにイラッとした



「教えてあげようか♡」

「別に知らなくてもいいもん」



クロロが私に言いたくないなら、私はそれを無理に知りたいとは思わない
知らなくても困らないし、知らなくても私にとってクロロがどういう人かは変わらない



「君ってクロロのことなーんにも知らないんだね♠」

「…」



足が止まる
言われなくても、そんなこと私が1番よくわかってる



クロロが幻影旅団だってこともずっと知らなかった、騙されてたとか思わない



ただ、私はクロロに信頼されてないんだって思った
それを話すに値しないんだって思った



除念師だって私に頼ってくれてもよかったのに、私にはそんなこと一言も言わなくて ただ、大丈夫だよって言うだけ



「ラム?」

「私が弱いから……
クロロに、頼ってもらえる力がないから…っ」



溢れる涙が抑えられない
私がここにいるのだって、わがままみたいなもの
私だってできるんだって、クロロに認めて欲しくて無理やりここまで来てるだけ



「ラムっ!?
泣かないで♦
ゴメン そんなつもりで言ったんじゃ…」

「クロロが私に何も教えてくれないのは本当だもんっ…
私は…、私は、クロロのこと何も知らないもん…」



言葉にするとますます涙が止まらない
無力な自分が、とてつもなく悔しい



「あの人はラムを大事にしてるんだネ…♡」

「ばかにしてんの?!」



涙を止めたいのに、止まらない
ヒソカのバカ
自分が強くてクロロに信頼されてるからって、私の気も知らないで…



「クロロがラムに蜘蛛の話をしないのも、自分との関係を隠すのもラムのことを想っているからさ♦」

「意味、わかんない」



「ボクがもし試験の時に君とクロロの関係知ってたら
君を囮にクロロを引きずり出していただろうし♣」

「…さいてー」

「ボクはクロロと戦いたいだけ♡
でも、そうじゃない人間の方が多い♣」

「どゆこと?」

「クロロの命を狙ってる人間なんてたくさんいるってコト♦
どんな手を使ってもって奴ばっかりさ♠
現に、あんな念をかけられてるし♠」



そっか、クロロの近くにいる私ならクロロの情報 聞き出したり、操作系能力者なら私をつかってクロロに接触することだってできる



「考えたこと、なかった」

「つまり、ボクは今 クロロの大事なものを預かってる♡」



クロロは、私のことを巻き込まないようにそういうものから距離を置いてくれてたんだ…
そんなことも知らないで、力になりたいとか言ってた私、おめでたいにも程がある…





「ちょー大事に扱ってね?
せっかくクロロが大事にしてくれてたんだから」

「もちろんさ♡
ラムには指一本 触れさせないよ♡」





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