††996††

□暇
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ひとりぼっちになり、私は虚無感に襲われていた





クロロと離れるのは、慣れてる
嘘、慣れるわけない
でも、今までにも何回か クロロと離れていたから そこまで深いダメージは無い





でも、今回のダメージは
今までと少し違う、というか かなり違う





クロロがどこで何をするのか、皆目見当がつかないわけじゃない
私はもう、知ってしまってる



彼は幻影旅団という盗賊に属している
そんな人がこの時期に行く場所が見当つかないほどバカじゃない





「絶対 あのオークションだよなぁ…」





ひとりぼっちの部屋はやけに独り言が響く



いい子で待ってる約束を破ろうとは思わない
だから私はヨークシンシティに行きたいとも思わない



だけど、なんとなく試合をする気にもならなくて このだだっ広い部屋で1人でぼーっとしている





「暇、寂しい、無理」



言葉にするだけ無駄とわかっていながらも呼吸ついでに言葉を吐き出す



あ、そうだ、イルミに連絡しよ
もしかしたら暇してるかもしれないし





「あ、イルミ?今何してるの?」

『ラム、何の用?
殺したい相手でもできたの?』

「違うけど」



たった一言で会話終了
電話を切られてしまった


もしかして、間違って切っちゃったのかな?そうに違いないよね
久しぶりの私からの連絡でびっくりしたんだよねきっと



「イルミー」

『何?オレ忙しいんだけど』



もう一度かけるとやっぱり出てくれた
忙しいとか言いながら電話をシカトしないあたりイルミの優しさを感じる



「実はさ、クロロおでかけしちゃってて、私ひとりぼっちなんだよね
構って♪」

『は?暇電ってやつ?
実家にでも帰れば?』

「あー、その手があった」

『ラムはバカなの?』



電話の向こうのイルミの表情が伺える
ってか、あんまり表情変わんないけど



「ねぇ、イルミ付き合ってよ」

『オレ、暇じゃないんだけど』

「んじゃあちゃんと仕事として依頼するからさ
イルミの家行っていい?」



そしてイルミの美形兄弟おがむんだー
久しぶりにキルアも見たいし、ってか仲良くなりたいし



『ダメに決まってるだろ』

「イルミのけーち」

『はぁ……
今ひとつ仕事抱えてるんだよね、終わったら行くから、大人しく待ってて』

「やったー!
お早めによろしくね」

『ハイハイ』



そう言って電話は終了した
家に行けないのは残念だけど
イルミ来てくれるんならいっか
お部屋の掃除でもしておこーっと


なんだかんだ、優しいんだよねイルミ
塩対応通りこして、胡椒くらいピリつくけど、相手してくれるし あれ以来 本気の殺意とか向けられてないし、いいやつなんだよね





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