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□ふなたび
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『ラム』



優しい声で名前を呼ばれる



『なぁに、お兄ちゃん』



懐かしいなぁ、お兄ちゃんの声だ



『もうすぐ誕生日だろ
ラムは何か欲しいものはあるか?』

『んー、ない!』

『何にもないのか?』



困ったように笑うお兄ちゃん
毎年 お誕生日をお祝いしてくれて
その度に欲しいものはあるか?って聞いてきたけど私の答えはいつも同じ



『うん!ラムはお兄ちゃんが一緒にいてくれるだけでいーもん』

『そっか、ラムは欲がないな』

『お兄ちゃん 大好きだもん!』

『あぁ、お兄ちゃんもラムのこと大好きだぞ』



貧しくても、2人だけでも、私はそれだけで毎日幸せだった
お兄ちゃん……会いたいよ……





_____





「ラム…ラム、大丈夫か?」

「お兄……ちゃん?
…ん、あれ クラピカ?どしたの?」





目を開けると、目の前には心配そうに私を覗き込むクラピカがいた





「うなされていたからな
何か悪い夢でも見てるのかと」

「夢…、あぁ なんか夢みてた
内容 覚えてないけど 心配してくれてありがとう」





どんな夢だっけ?心配してくれるってことはけっこう魘されてたんだ…





「ちょっと外の空気吸ってくるね」

「気をつけてな」

「うん」





船内からデッキに出ると潮風を感じた
海って広いなぁ
この向こうにいろんな国があって、いろんな人が住んでるなんて 想像つかないや…





お兄ちゃんも、どこかにいるんだよね…
会いたいよ、お兄ちゃん…
私 もう昔みたいにお兄ちゃんに頼ってばかりの私じゃないんだよ?



今なら、お兄ちゃんに捨てられることもないかな…?





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