††996††

□暇
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その日、クロロは私をデートに誘ってくれた



天空闘技場で荒稼ぎしていたので私が払いたいと言ったら断られた



「今日はオレから誘ったんだ
エスコートさせてくれ」

「うん!それじゃあ お言葉に甘えて」





そういえばクロロとのデートは久しぶりだ
ここに来てからずっとバトルばっかりしてたし、クロロはたまにどっか行っちゃってたし
今日はいっぱい クロロに甘えちゃお





「ふふ」



クロロの腕に抱きつき、カップルのように歩く
お気に入りの服に、大好きなクロロ
私、今 すーっごく幸せ





「なぁ、ラム」

「ん?」





デートの最後は、私が前にテレビで見てずっと行きたかったレストランに連れて来てもらった





正直 どんなにステキなお店でも一緒に来る人が美しくなかったら 味も楽しさもゼロになってしまう



クロロみたいな人とだったら、どんな場所でもそこが世界で一番 ステキな場所になるんだから
こんなにステキなところは、言いようのないくらい最高の場所になってしまう





「ありがとう、クロロ
このお店 私が行きたいって言ってたの覚えててくれたんだね」

「当たり前だろ?
ラムの望みはなんだって叶えてあげたいからね」





テレビで見たとおりの素敵なお店は、クロロにとってもよく似合う
もちろん、料理が美味しそうだったから来たかったわけだけど、半分以上はこの背景でクロロと過ごしたかったという理由



期待以上に、この空間はクロロの美しさを際立たせてくれる





「なぁラム」

「なぁに?」

「明日から、しばらく出かけることになったんだ」

「…そう、なんだ」





クロロは真剣な眼差しを私に向けた



「着いてっちゃだめ、なんだよね」

「あぁ」

「そうだよね
今日はしばらく離れても私がいい子にしてるように 充電させてくれたってことかぁ」

「察しがいいな」

「いい子で待ってたら
ちゃんと帰ってきてくれるんだよね?」

「もちろんだ」

「じゃあ待ってる…」

「すまないなラム」



それは、置いていくことに関してじゃなくて 何も話してくれないことへの謝罪なんだろう



「すーーっごく寂しいけど、ちゃんと待ってるからね」



あえて、そう答えるとクロロは笑ってくれた
クロロが私に何も話してくれなくても、それでもいいの
貴方が私の側からいなくならないでくれるなら、それでいいの




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