††996††

□開花
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クロロside.





自覚はあった
もうすぐヨークシンシティで大きな仕事がある
世界最大のオークションに出品される全ての品を盗む





その下準備のために オレはよく家を空けていた
ラムにはオレが幻影旅団だと言ってあるから、頭のいいラムは敢えてオレを問い詰めることはしない





それに甘えて、少しラムを放置しすぎていた自覚はあった





「ラムっ!」

「クロロ…」





ラムはほぼ毎日 試合を組んでいた
1度 200階クラスへ上がることを辞退したため 1階からの再び挑戦し直しになったが初めよりも早いスピードで勝ち進んでいた



ラムなら、200階クラスでも手間取ることはない

まして念を使える人間がほぼいない200階以下ではラムにかすり傷すら負わせることはできない

でもそれは、ラムがちゃんと戦っていればの話だ
オレのせいで、ラムが試合に集中できていなかったとすれば話は別だ





「ラム…、体は大丈夫か?」



家に戻ると明かりのついていない部屋の中でラムの周りだけが明るく光っていた

ラムのそばには見慣れない何かがいる
あれは、ラムの念が作り出したのか?



しかし、ラムからオーラを感じない
まるで絶で気配を絶っている時と同じようだ




「今 メンテナンス中なの
ごめんね、心配かけて」



ラムにいつもの元気さがない
オーラを大量に使って疲弊しているのか?いや、きっとそれだけじゃない





「この子、アフロディーテって言うの」



ラムがそばの天使のようなものに向かって言う



アフロディーテ、美と愛の女神の名前からとったのか





「この子が私の念能力
今は私の怪我を治療してくれてるんだけど、美容エステとマッサージが得意な子なの」



慈しむようにアフロディーテに手を伸ばすと、アフロディーテも慈愛のこもった眼差しをラムに向けた



「この子に触れてもらったら、どんな怪我も綺麗に治るし、心も癒してくれるの」

「そうか、だが どうして」



ラムは元気どころか微塵のオーラも纏っていない



「見ての通り、発動中は全部のオーラ使っちゃうから無防備なんだ
でもバトル用じゃないから、そのくらいの制約でちょうどいいよね?」

「あぁ、ラムらしくてオレは好きだぞ」

「ありがとうクロロ」





ラムに何があったのかはわからないが、特質系らしい能力を開花させたのは大きい





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