††996††

□変質者
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ヒソカside.





部屋を訪れたラムを壁際に追いやると不思議そうになにかを見つめていた


「あれ?
ねぇ、ヒソカって幻影旅団なの?」



ラムの口からは到底出ないであろうと思っていた言葉に驚き後ろを振り返ると、鏡には取り忘れた蜘蛛のタトゥーが写っていた



「あぁ、まぁね♣
驚いたな、ラムの口から蜘蛛の名前がでるなんて♦よく知ってるね♠」



なぜラムが蜘蛛のことを知っているんだろう


前にラムと話した時、彼女の生まれ育ちは聞いている
至って一般的な、割と裕福な家に育っているようだったけど、その話は嘘ではないはずだ



去年から目をつけてはいたけど、確かにポテンシャルは高いが、それはあくまで潜在能力の話で 彼女のこれまでの人生でそれを磨いてきた形跡はなかった



それがたったの1年で見違えるほどの成長を遂げていた
かなり優秀な師に仰いだのだろう
彼女は頑なにその存在を教えてはくれなかった、それが師との約束だと



つまり、名前を明かしたら本人にとって不都合なほどにその人物は名の通った存在ということ
自分との関係が外部に漏れればまだ成長途中のラムを利用されると考えたのか



間違いなく、去年のラムは蜘蛛の存在は知らなかったはず
そして、それを知るきっかけになったのが間違いなく彼女に念を教えた人物



ハンター協会の上の方の人物か
あるいは、その正反対にいる人物…





「私、そろそろ帰るね」

「帰さない♡」



気になる
ラムの後ろにいる人物
彼女がここにいるということはその人物もここに?


いや、その可能性は低い
ここは人目も多い、そして念を使える人間もいる
そんな場所で存在を隠しながらラムを指導するはずがない


ここまで徹底してラムに自分との関わりを隠させる人物がそんなことをするはずがない


おそらくここで彼女に何か課題を提示しているんだろう
200階到達、あるいは フロアマスターになること



「だってヒソカもう寝るとこだったんでしょ?
それに、せっかくこんなに綺麗に縫ってもらったんだから
ちゃんと安静にしてないとだめだよ?」



そもそも、そんな師が近くにいるならいくら手負いだとしてもボクのところに1人で来させるわけがない


ここではラムの先生には会えそうにないな



「早く良くなりますように」



ラムはボクの両手を握って目を閉じてそう祈るように言った



「…」



あぁ、君はどうして そんなふうにボクを刺激するんだろう
無垢な子どものような仕草にこんなに胸をうたれるなんて、ボクはずいぶんラムにハマっているらしい



「君って、変わってるって言われるだろ♠」

「?
最近よく言われるけど…
私にそれ言ってくる人たちの方が変わってるんだもん、私は至って普通だよ?」

「そうかい♣」

「とにかく、早く治るようにしばらく戦ったりしちゃだめだよ?
なにか不都合あったら呼んでね、私もしばらくはここで過ごすつもりだし」



別に手がこんな状態でも、ラムを犯すことはできるんだけど
彼女はそんなことを微塵も疑わずにこんなに無防備にボクの元へ来た


もしかして、相手が無防備だとボクがヤる気無くすってこと知ってるのかな?



「ってか早く服着なよ?風邪ひくよ?」

「そうしたらラムが看病してくれるだろ♦」

「わざと風邪ひくような人をわざわざお世話しません
それじゃ、お大事にね」



そう言ってひらひらと手を振り帰って行った



「本当、調子狂うなぁ♣」



ラム、ボクはね 割と本気で君のことを狙っているんだ


剥がし忘れた蜘蛛のタトゥーを剥がして床に捨てた



ラムのこともとっても気になるけど、やっぱり ラムをあそこまで育ててくれた人物も気になるところだ…





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