chain

□なやみけつい
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クラピカside.





目の前にいる男は
同胞の仇





頭をとれば蜘蛛は死ぬ
わかっているのに私は何を迷っている





鎖の力で力を失ったこの男を殺すのは容易い




それなのに…





「ラムに会うことは認める」





私にとっては憎むべき対象だが、ラムにとっては親の代わりとなる唯一の存在だ


ラムが望むなら、あるいは彼女を失っても…





「なぜお前がラムを知っている
…あぁ、ラムもお前と同じ民族だもんな」

「貴様っ、なぜそれを知って…っ!」





ラムがクルタ族と知っていてなぜあんなことができた





「オレはラムには会わない、会う気もない」





こいつ、彼女の気も知らないで…
ラムは迷ってる
彼女の世界は狭い、そして今までその狭い中であまりにたくさんのものを失いすぎた





「私にはもう再会できる同胞は物言わぬ眼だけだ…
だが、ラムはちがう
とても気分は悪いがラムにとっては大切な、唯一の家族だ」





なぜだ、なぜこんなやつがラムの…





「ラムにずいぶん甘いな
同胞の生き残りがいて嬉しいか?それとも…別の感情か?」

「お前には、関係ない」





焦燥を悟られたらこいつはどんどん私の心に踏み込んでくる
あくまで冷静に、こいつの安い挑発に乗ったりしない





「まぁ、オレの可愛い妹を、せいぜい泣かせないでくれよ」

「泣かせてるのはお前だろう!
ラムが泣くときはいつもお前のせいだ」

「そうだな オレではもうラムを幸せにしてやることはできない…あの子はお前にやるよ」

「っ、何様だ! よくもそんなことをぬけぬけと!」






今すぐにこいつを葬るのは容易い
なのに、それができない
こんなにも、こんなにも憎いのに…





「ラムは、俺に言ったんだ
家族が欲しいとな
いつも欲しいものを聞いても、何も望まなかったラムが本当に欲しかったものだ…
オレは、あの子の唯一の願いをきいてやれない」





なぜそんな、被害者ヅラができる
その顔をラムを前にしてもできるというのか


貴様から手放しているくせに、なぜそんな辛そうな顔ができる…





「くれぐれも、ラムを幸せにしてやってくれ」

「言われなくとも、彼女は私が守る」





まるで、私にそう言わせるゲームに勝ったかのような顔で笑うこの男が 憎い



だが、発した言葉に偽りはない
ラムの幸せを自分に誓った





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