chain

□かくせい
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その知らせが届いたのは
クラピカが旅団の1人を殺してから
たったの2日しか経っていないときだ





幻影旅団の団長が死んだ






「はぁ…、はぁ…」





頭の中には何もなかった
ただ、そこへ向かっていた






血と火薬のにおい
そこらじゅう破壊されていて、警官やマフィアのものと思われる死体がごろごろ転がっている





そんな無残な光景を見ながら進んでいくとやけに人の集まるところがあった





「っ…」





私は膝から崩れ落ちた





「お兄、ちゃん…」





体が生命活動を停止しそうなほどに冷めていくのがわかった



目の前にあるものを受け止められなかった
お兄ちゃんが、死んだ…





「ラム!」





誰かが私の名前を呼んだ





「おい!ラム、ラム!」

「…お兄ちゃん、お兄ちゃん……」

「しっかりするんだラム
私を見ろラム」

「クラ、ピカ…?」





地面にへたり込む私に駆け寄ってきたのはクラピカだった
どこに定めたらいいのかわからなかった視点が、私の顔を覗き込むクラピカに集まる





「ラム、私がわかるか?」

「クラピカ……」





クラピカに肩を抱かれながら、それに近づく





「お兄ちゃん…」

「…お兄さんで、間違いないか?」





クラピカの補助を離れ、動かないお兄ちゃんに近づく





「お兄ちゃん…」

「…」





お兄ちゃんに手を伸ばそうとした時、気づいてしまった
これは、お兄ちゃんじゃない…





「ラム?」

「…」





この死体、偽物だ…まるで人形
まさか、旅団の力?
そっか…具現化系の能力者なら可能だ…



でも、すごくよくできてる
まさに死体だ
普通ならこれが死体であることを疑わない
でも、私にはわかる
きっとこの中で私だけが、わかってる
この死体が偽物だってこと…





「大丈夫か?」

「…うん、平気」





クラピカから聞いていて、状況は大方把握している
多くの人が死んだ、マフィアも警官も、そしてクラピカのいるマフィアの人も





死体が見つかった今、マフィアはもう旅団を追うことはない


もしここで、クラピカにこの死体が偽物だと言ったら?
クラピカは単身で旅団を追うことになる


きっとクラピカは周りがどう動こうと、自分の行動を変えない
旅団が生きてる限り、クラピカは彼らを追う


そしてそれは、この状況ではとても危険だ
もう、何の後ろ盾もない
旅団はたった1人欠けただけ、きっと戦力にそこまで大きな影響はない



つまり、足が一本もげた程度では、彼らに傷を与えたことにはならないだろう
ほとんど無傷の相手にクラピカ1人では部が悪い、そしてそこに私が加わったところで状況になんの変化も起きない





「クラピカ…?」

「…ぁあ、どうかしたか?」





そっか、今のクラピカは狙う敵がいなくなっと思って虚無感に苛まれている
ここは、このままの方がいい
その方が、クラピカが無謀なことをしなくて済む…





ごめんね、クラピカ…
どうか貴方の目的を思い出して





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