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□ひきこもり
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私は勤めていた会社を辞めた


元々、幻影旅団についての情報収集とコネクションのために利用していたのだから思い入れもなかったし、期限付きの入社だったのでそれが切れただけのことだ





ヨークシンシティの中心から少しずれたところが私の拠点としているところ
私は外界との接触を拒んだ
光すらも遮断して、部屋の中で自分の殻にこもった





『ラムは私の大切な人なのだから』





クラピカの言葉が耳に張り付いてる
旅団に会ったと言って真っ先に私の心配をしてくれたクラピカ


私に 大切な存在、という素敵な言葉をかけてくれたクラピカ


私にも、クラピカは大事な人だよ

それなのに
貴方のためにチカラになると言ったのに
私は中途半端だ……





お兄ちゃんと対峙して
私にできることはたくさんあった



情報を聞き出すこと
それがかなわなかったら、お兄ちゃんの能力を知ること
もちろんそのためには戦闘は避けられない
正直、勝てる気は微塵もしなかった
でも、能力を発動させて逃げることくらいならできたはずだ
私は、弱い…





こんな私に、クラピカの力になる資格も、大切な人なんて言ってもらえる価値もない





♪〜





着信音が聞こえる





「はい」

「ラム いまどこにいるんだ?
無事なのか?まさか、蜘蛛に捕らえられてるのか?」

「クラピカ…」





電話の向こうのクラピカの声は、顔なんて見なくてもわかるくらいに焦っていて、心配してくれてるのがわかる



それがわかるからこそ、ますます胸が苦しい





「大丈夫か?ラム」

「うん、私は大丈夫
今は1人で家にいるよ…」

「それならいい
なぁ、ラム 考えたんだが
無理はしないでくれ
ラムがどんな選択をしても私はラムを咎めない
そんな権利はないからな」





私を気遣ってくれるクラピカの声が遠くに聞こえる





「お兄さんとは、戦えないだろう?」

「ごめん…クラピカ…」

「謝ることはない、責めるつもりもない
私はラムが心配なんだ
こちらもヨークシンシティに入った
一度 会って話したいんだが、時間つくれるか?」





会う、クラピカに?会う?
私にそんなこと許されるの?
こんな私に…





「私が、ラムに会いたいんだ
頼む」





そんな言葉かけてもらう価値、私にはないのに…





「私も、クラピカに会いたい…」





許されるなら
私の唯一の友人に
私を認めてくれるたった1人の人に会いたい





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