chain

□それぞれのみち
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センセは私とクラピカをそんな視線で見てたわけ?さいてー
この人、男女の友情は有り得ないとかいうタイプの人だ





「意味わかんない
なんでそうなるの?私とクラピカは友達、クラピカは私の初めてできた友達なんだから」

「そういえばそんなこと言ってたな」

「初めてできた友達だから
大事にしたいの…、ってか大事なの」





そんな大事な人が命張るのに、私だけ何もしないの、すごく嫌
なんにもできない弱い自分が、すごく嫌





「大事にするっつっても、お前まで命投げ打ったら意味ねーだろ」

「なんで?」

「ったく、お前 頭の回転はいいくせにこういうの疎いよなぁ!?
言っただろ、あいつの力は諸刃の剣だ
一方 強力だが、自分も危険に晒す
まさにあいつの性格表してるな
そんな死に急ぎ野郎の石頭を、引き止めてやんのが、お前のすべきことだ」

「引き止める?
クラピカは私が何て言ってもやることを成し遂げるよ」

「だろうな
あいつは人の意見なんか聞きやしねぇ
師匠であるオレのことも無視するくらいだからな
だが、お前の言葉ならあいつに届く
あいつが本当に無理してるとき
極端に言えば、敵を倒すためだからと崖から飛び降りようとしてるとき、お前はどうする?」

「そんなの止めるに決まってるよ!」

「そうだ、それが正解だ
だが、さっきまでのお前の言い分だとこの場合 クラピカが飛び降りるなら私も飛び降りる!って言ってるようなもんだ」

「それは…」



私のセリフのところのモノマネに若干の悪意を感じたが、そこはあえて触れないでおく



「あいつは頭はいいが 敵のことになると我を忘れるところがある
それを落ち着かせることができるのはお前だけだ」





クラピカを止める役目
彼の危ない剣をしまってあげる鞘
私がクラピカにしてあげるのは
一緒に危ない一本橋を渡ることじゃなく、それを止めて別の道を一緒に探してあげること





「センセってやっぱセンセなんだね」

「当たり前だ
さて、泣き虫娘 人の心配よりもまずは自分の心配だ」

「泣き虫じゃないし!」

「クラピカにだいぶ遅れをとってるからな、いくら体術が優れていても念を防げるのは念だけだ」

「ねぇ!泣き虫じゃないってば!」

「なんだ?
知らないのはお前だけだぞ?」

「なにを?」

「お前、よく夢でうなされて泣いてんだぞ
お兄ちゃん、お兄ちゃん言いながらな」

「なっ!
寝てるときなんて知らないもん!」

「お前が話してくれたように、流星街でお前を育ててくれたのはわかるが その兄について、もっと詳しく話してみろ」

「泣き虫撤回して」

「ったく、お前もクラピカも強情だなぁ! 本当、嫌なとこばっか似てるぜお前ら
撤回してやるから、話してみろ」

「お兄ちゃんは、私に生き方を教えてくれた人…
私はお兄ちゃんがいなかったら、生きてすらいなかったんだから」





物心ついたときには両親はいなくて、いつもお兄ちゃんが一緒だった
お兄ちゃんは優しくて、かっこよくて、いつも私のことを大事にしてくれた



でも、お兄ちゃんはある時 姿を消した
流星街の長老の話では仲間と一緒に街をでたらしい
私はそこに連れて行ってもらえなかった、私はお兄ちゃんのお荷物だった
だから、捨てられた




私が弱かったから、足手まといだから、邪魔だから、お兄ちゃんは私に何も言わずに去っていった、私は捨てられた





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