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□ともだち
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「お世話になりました」



答えを返すはずもない街にそう告げて私は生まれ育った流星街を出た





目的は、人に必要とされる人間になること
そのために私は ハンターになることを決めた





そのために必要なものはお金
私は交通費すら持っていない
でも、「稼ぎ方」は心得ている





「えーっと、ひぃふぅみぃ…
えーー5人からすってたったの12万J?!今のご時世 しけたもんだ」



スリはお兄ちゃんから教わった
というか、お兄ちゃんには「生き方」を教わった
私は、お兄ちゃんがいなかったらとっくの昔に死んでいた人間だ





「ま、こんだけあれば明日の船に乗れるしいっか
ついでにご飯も食べれるし」





港近くの酒場で朝まで明かせば宿代うくし、ついでにあと2.3人からお金を頂戴すればいい
私って、本当に頭いい子





「オネエさーん ミートパイとチーズくださーい」





港近くの街の酒場でご飯にありつく
ここは朝までやってるからこのままここで寝ずに朝を迎えて船の中で睡眠、なんて完璧な計画



「お嬢さん 1人?」

「ん?」

「暇なら俺達と飲まないか?」

「もちろん 奢ってあげるから」



ミートパイにチーズをぶち込んで食べていると人相の悪いイカツめの3人に声をかけられている金色の髪の人が目に入った





「あいにくだが、私には品のない者と酒を酌み交わす趣味はない」





凛とした声で男の誘いを断る金色の髪の人は、キレイな顔をしている

こんなむさ苦しいところで、確かに一際目立つ美形だ
男が声をかけるのも無理はない





「なんだ、つれねぇなぁ」

「いいじゃねぇか、一杯くらい」

「断る」





今しがた口の中に詰め込んだパイをまだ飲み込んでいないので、それを飲み込んでから言葉を発する





「ねぇ、オニイサン達 ダサいよ?
3人もいないとこの人と話せないの?
ってか、断られてんだから 素直に諦めなよ」





束にならないと女も誘えないようなザコに、こんなキレイな人の食事を邪魔する資格なし


多分このまま、逆上されて私に殴りかかってくるんだろうけど ただの男が私に勝てるわけない





「あ? じゃあ代わりにお嬢さんに相手してもらおうかぁ?」





はいでた、サンシタの常套句
ここまで想定通りだといっそ清々しい





「やだよー
この美人さんならともかく、オニイサン達と一緒だと どんなお酒もドブ水と一緒だもん」

「んだとぉ! このアマ 調子乗りやがって」





調子乗ってんのはてめぇらだよ





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