286.287

□drop out
1ページ/1ページ

次の試験が滞りなく始まっても
私の頭の中はあの出来事でいっぱいだった



「さっきの試験官、一命を取り留めたらしいぞ」


「あのヒソカとかいう奴もバカだよな
あの力なら合格間違いなしだろうに、自分から棒にふるなんて」


「最初からヤバそうな雰囲気だったもんね」


「ただ、人殺したかっただけだろ?」


「あぁ、試験の最中に20人くらいあいつにやられてるらしいし」



受験者の声を盗み聞く
なるほど、やっぱりあのピエロの人普通じゃなかったもん

さっきまでの嫌な視線も無くなって体も軽いし、試験に集中しようと思っても頭の片隅から離れない



「合格おめでとうございます
いよいよ、次が最終試験となります」



ここまで残ってるのは10人
その誰からもピエロの人みたいなすごさを感じない



たぶんこの中の誰も
あのピエロの人より弱い


私も例外じゃない


正直 試験落ちる気がしない
私はこのままハンターの資格を得る
でも、あの人はハンターの資格はない


つまり、あの人が悪い人だったら
私はあの人を捕まえることはできない
そんなのでハンターになっていいの?



ここにいる人たちもそう
ただの肩書きだけあってもなんの役にも立たない



あの人は確かに言った
立ち尽くしてる私にだけ聞こえるように



「またね♡」



って、だからきっとあの人にはまた会える



「あの…」



私は自ら試験を辞退した



.
次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ