††996††

□選挙
2ページ/5ページ

出かける準備をしながら
ふと、頭によぎるのは愛しい人のこと




私このままでいいのかな…
相変わらずクロロからの連絡はない




もしタイミング悪く連絡してしまって、それがクロロの念の邪魔とかになったら…なんて考えて連絡をとらないでいる




…ちがう、そんなふうに言い訳をしてるだけ


私は、ヒソカとの、この過ごしやすく名前のない時間に甘えてるだけ


ヒソカは本当に私に手を出してこなくて
シンプルにアテナの面倒を見てくれる…(と言う名の、ただの戦闘訓練なのだけど)
なんだか、面倒見のいいお兄ちゃんみたいだなんて思いながら過ごしている





イルミは、ちょっと特殊なお兄ちゃんだったけど
ヒソカは、人を殺す以外は割と普通で…、というかそもそも人を殺す時点で普通ではないわけだけども


その感覚すら最近麻痺してきている
だんだんこっち側になってきてしまっている気がする




現に私自身もほんの少し前は
天空闘技場で人を殺していたわけだし…




「いつから、こんなふうになっちゃったんだろう…」




一見、色白で華奢に見える私の両手は何人もの人間の返り血を浴びて、赤黒く染まっている




「ラム♪ 用意はできたかい?」

「うん、お待たせ 行こっか」

「♦」




ヒソカと一緒に飛行船に乗って、ハンター協会本部のあるスワルダニシティへと向かった




『俺はハンターには興味ないからな』




クロロは、前にそう言っていた
私が試験を受ける時、クロロと離れたくないから一緒に受けようと誘った時だ


あの言葉が本当なら、クロロはハンターの資格を持っていないはず……って、なんで私、クロロの言葉疑ってるんだろう…




「あの人は来ないよ♣」

「え、なんで?」




私の心を見透かしたかのようなヒソカの言葉に、ドキッとする




「クスっ♡
ほんとに、ラムはわかりやすい子ダネ♪
まぁ、そんなところも魅力だケド♦」


面倒見のいいお兄ちゃんで
人殺し以外はいい人っていうのを撤回するつもりはないけど
この、天性の気色悪さだけは受け入れ難い






.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ