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□選挙
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出かける準備をしながら
ふと、頭によぎるのは愛しい人のこと
私このままでいいのかな…
相変わらずクロロからの連絡はない
もしタイミング悪く連絡してしまって、それがクロロの念の邪魔とかになったら…なんて考えて連絡をとらないでいる
…ちがう、そんなふうに言い訳をしてるだけ
私は、ヒソカとの、この過ごしやすく名前のない時間に甘えてるだけ
ヒソカは本当に私に手を出してこなくて
シンプルにアテナの面倒を見てくれる…(と言う名の、ただの戦闘訓練なのだけど)
なんだか、面倒見のいいお兄ちゃんみたいだなんて思いながら過ごしている
イルミは、ちょっと特殊なお兄ちゃんだったけど
ヒソカは、人を殺す以外は割と普通で…、というかそもそも人を殺す時点で普通ではないわけだけども
その感覚すら最近麻痺してきている
だんだんこっち側になってきてしまっている気がする
現に私自身もほんの少し前は
天空闘技場で人を殺していたわけだし…
「いつから、こんなふうになっちゃったんだろう…」
一見、色白で華奢に見える私の両手は何人もの人間の返り血を浴びて、赤黒く染まっている
「ラム♪ 用意はできたかい?」
「うん、お待たせ 行こっか」
「♦」
ヒソカと一緒に飛行船に乗って、ハンター協会本部のあるスワルダニシティへと向かった
『俺はハンターには興味ないからな』
クロロは、前にそう言っていた
私が試験を受ける時、クロロと離れたくないから一緒に受けようと誘った時だ
あの言葉が本当なら、クロロはハンターの資格を持っていないはず……って、なんで私、クロロの言葉疑ってるんだろう…
「あの人は来ないよ♣」
「え、なんで?」
私の心を見透かしたかのようなヒソカの言葉に、ドキッとする
「クスっ♡
ほんとに、ラムはわかりやすい子ダネ♪
まぁ、そんなところも魅力だケド♦」
面倒見のいいお兄ちゃんで
人殺し以外はいい人っていうのを撤回するつもりはないけど
この、天性の気色悪さだけは受け入れ難い
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