♯魔法の国

□捻者
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ガタッ




彼が帰ってきた音がする
さっきまで力の抜けていた体に緊張が走りかたくなる




「ただいま〜、クマノミちゃん」



無邪気な笑顔で私にかけより、長い腕で抱きしめるフロイド



「おかえりなさい、フロイド」

「クマノミちゃん、今日は何して遊んでたの?」



屈託のない表情で私に質問をするフロイド
貴方は一体、どんな気持ちで私にその質問をしてるの?


この部屋に監禁されて、手足を繋がれている私が、何かして遊んでいたとでも本気で思ってるの?



「あ、そっかぁ
これがあるからー、クマノミちゃんは貝殻で遊んだりできないね」



ニコニコと楽しそうにそう微笑みかけてくる
まるで無邪気な子どものようだけど
そんな、かわいいものじゃない
私は、フロイドが怖い




「クマノミちゃん♪」

「!」



不意に伸ばされた手に、勝手に体が反応して後ずさってしまう



「どーしたの?
ビクっ、てしちゃって?」

「なんでも…、ないよ」

「クマノミちゃんはオレが怖い?」

「…」

「クマノミちゃんはわかりやすいなー
そんなところも、可愛いーんだけど」 



楽しそうに私の頭を撫でるフロイド
私は、貴方が怖いよ



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