長編 禁じられた二人

□episode 13 〜もう1人の自分〜
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美優紀side




私は何かに取り憑かれたようにさやかちゃんを血眼になって探した

『はあっはあっ、…さやか…どこいった…』

部屋にもおらんし、電話も出んし、LINEも既読つかん…

サヤカ・・・ワタシノ・・・ワタサナイ…

私の中の“誰かが”そう叫んどる

菜々「美優紀っ!」

『菜々ちゃん…?』

菜々「彩は…?」

『いない…ねぇ、菜々ちゃん?』

菜々「な、なに?」

『彩ちゃんのこと、菜々ちゃんが隠してるとかないよ、…ね?』

私は菜々ちゃんの胸ぐらを掴んだ

菜々「…っ!」

私は菜々ちゃんを睨みながらもう一度確認した

『菜々ちゃん、さやかはどこ?』

菜々「私は知らんよ…」

『ホンマに…?ウソついとったら菜々ちゃん許さないからな』

菜々「ウソついてへんから!美優紀!目を覚ましや!」

菜々ちゃんが怒っとる

ーバチン

菜々ちゃんにビンタをされた

『・・・』

菜々「美優紀、ごめん…。」

私は左頬を抑えながら菜々ちゃんを睨んだ

菜々「痛かったやろ?」

『痛いに決まっとるやろ!』

私はまた菜々ちゃんの胸ぐらを掴んだ

菜々「その痛みは、彩も同じやで、いや、それ以上の痛みやろうな」

『え?』

菜々「それを彩はずっと許してくれてるんやろ?」

『うん…』

菜々「なんで彩は痛い思いまでしてまでもあんたと一緒におるか分かってへんやろ」

『・・・』

菜々「普通やったらとっくにあんたが彩に捨てられててもおかしくないんやかんな?」

『・・・』

菜々「彩はあんたにどんなに酷いことされても一緒におるやんか…なんで彩をもっと信じてあげへんのよ?」

菜々ちゃんに言われて目が覚めた

『ななちゃ…ん…』

菜々「もー、なんで美優紀が泣いてるんよ?」

『私、さやかちゃんにずっと酷いことしてた…でも、さやかちゃんは美優紀好きやでっていつも一緒におってくれた…菜々ちゃんどうしよ…』

菜々「美優紀、落ち着いて」

『今度こそ、さやかちゃんが離れてまう…』

菜々「大丈夫やから、落ち着いて美優紀!」

私はその場にしゃがみ込んで泣き叫び続けた
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