長編 禁じられた二人

□episode10〜衝突〜
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彩さんが寝室で、休んでいる時にリビングあった携帯が鳴り…

相手はすぐに誰かわかった。










ほっとけば良いものを、私は携帯を手に取って出てしまった。










(彩ちゃん!今どこにおるんよ!!)


私が出てるとも気付かずに、彩さんの名前を呼ぶ。




「………」


(なぁ、なんか言ってや!!大丈夫?)



「誰と居ようが、勝手やろ?」



(え?彩ちゃん…)




「あんたのペットやあるまいし。」







すると、やっと私が彩さんやないって向こうが気づいた。


(あんた、彩ちゃんやないな…)



「やからなんやねん?」



(彩ちゃんに変わって!!もう私のところに帰ってきたんやから!!)



美優紀は私に対して、怒鳴る。



へぇ〜…彩さんの彼女ってこんな人なんや。



私とは全くタイプが違うし、ふわふわしてるように見えて…本当はめちゃくちゃ気が強くて、束縛して嫉妬深い。


束縛と嫉妬は私にも似てるんかもしれへんけど、こんなんに負けることはないなってどこか冷静に思う。
彩さんはきっと、この人の気の強さとかが実はストレスやないんかな?





「それ、ほんまに言ってますか?」


(はぁ?どういうこと。)


「彩さん、きっとあなたより私の方が好きですよ。だって私が今日やって絶対ここに居ないって限らへんし、ほんまにあなたの所に戻ろうって思ってたら来ないと思いますよ?」


どんどんヒートアップする彼女をもっと怒らせたくて、彩さんは自分のやって思い知らせてやりたいって…

どこかでムキになってた。




(あんた、彩ちゃんを苦しめたいん?私のところに居たら、今まで通りの彩ちゃんで居られるやで。)



「やから、苦しめてるのはあなたやないんですか?」




(なに言ってんねん…そんなわけないやろ!)


「ふふっ、じゃあ今後の彩さんがどうするか見ててください。きっとあなたのところには戻らない…私が戻さないし。守るから。」



(なんやって!!)



ぶちっ、、、




彼女が沸騰しきる前に、電話を切った。




後から、ちょっとまずかったかなって思ったけど…言ったことには嘘も悔いもないから良いや。













履歴もすぐ消して、何もなかったかのようにした…

まぁ、いずれバレるかもしれへんけど弱ってる彩さんにはちょっと刺激が強すぎるから。










ガラガラ…


『ゆーり…』


「起きてた?」



『目が覚めたら、おらんから…』





私を見ると、ホッとした顔をした彩さん…


この人を守るのは私や。


あんなヒステリックな女に、彩さんは渡さへん。




「大丈夫。おるよ…」



『あ、私…携帯がない。』



「ここあるよ、リビングにあったからちょうど持ってきてん。」



『鳴ってへんかった?美優紀から…』




やっぱり気にしてるんや…













「鳴ってないよ。」




『そうなんや、良かった…』



「彩さん、もう帰らんよね?」



『えっ?』



「私の家におったらええよ…」



肝心なことやのに、声が小さくなった。



あの人に彩さんを取られたくないんや…




『ありがとう、夢莉…』


「あかん?」



『じゃあ、言葉に甘えて熱が下がるまでは泊まらせてもらうな。でも、仕事もあるから…家には帰るな?』



「そっか、分かった…」



『ふふっ、そんな寂しそうな顔せんの…仕事が終わったら毎日でもええから会おうな?』


私の頬を優しく撫でてながら、優しく彩さんは言ってくれた。
こういうところは、大人の余裕なんやろうか…それかモテる理由の一つで彩さんのずるい所なんかな。


その顔が綺麗で見惚れてた…

こうやって、色んな女の子を落としてきたんやろうか。



「うん…彩さん。」



ぎゅっ、、、



『ゆーり…愛してる。』


「私もやで、彩さん…」




この人といるためなら、何を捨てたって構わない。
どんな敵でも相手をしてみせる…
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