長編 禁じられた二人

□episode 8〜あなた以外〜
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私はただひたすら暗闇を歩いてた。


なのに、どうして?


美優紀…



「彩ちゃん…」


『美優紀…』



私は美優紀を見ても、夢莉のことが深く傷になって…


ボロボロと涙が止まらなかった。


こんなに泣いたの初めてやないんかな?


ぎゅっ、、、


「どうしたんよ…そんなに泣いて。」



美優紀は私があんなことを電話越しでしてたのに、抱きしめてくれた。



『なんで、怒ってるやろ…』



涙は溢れるばかり…

やめて、私を甘やかさないで。



「絶対なんかあったんやないかって、彩ちゃんのことやもん…心配で探してたんや。」



『ごめんなさい…』



「とりあえず、私の家に帰ろう?ね?」


『うん。』



携帯しか持ってへんから、鍵すら無くて…


美優紀の家に行かせてもらうことになった。
私はもう罪悪感でどうにかなりそうや。











がちゃんっ。




「ほら、ここ座り?彩ちゃんの席やん。」



『私の席なんて…』



「彩ちゃん。」



『なに?』




美優紀は私の手を引いて、いつも座ってる机の場所に座らせた。



「へんな男に引っかかってるんやないやろうな?」


『……』



男やない、けど…


夢莉は変な人なんかな?



いや、変な人や。
だって、あんなに私を襲って…愛してくれたのにシャワーを浴びたら人が変わった。

荷物やって、取りに行かれへん。



「なぁ、今なら許してあげるから…もう行ったらあかんで?」


『行かんよ、てか…もう行かれ…へんねん…』


私はまた泣いてしまった。



やっぱりそんなすぐには嫌いにならへんよ。


信じたくないねん、夢莉が二股してるって。

まぁ、人のこと言われへんねんけど。




「泣かんの…そんな男はよ忘れて。」



『すぐ忘れられたら…私やって苦労せんわ!!』



「彩ちゃん…」



私はなにも悪くないのに、泣きながら美優紀を怒鳴ってしまった。
最低や…
ほんまに死にたい。



『ごめん…もう、嫌や!!こんな私なんか死んだらええねん!!』



「そんなことない。私が彩ちゃんを必要としてんねんから…今はまだそりゃあ無理なんかな。私こそごめんな?」




美優紀はたぶん、こうやってなだめることで…私が帰ってくると思ってるんや。

でも、帰ってくるところがあるっていうのは私にとって心が少し安心して癒されるけど…


夢莉から美優紀へはもう、帰られへんのが分かった。




ーーー



私は彩ちゃんが二股をしてることに、気付かされて…



すぐに連れ戻さなあかんって、探してたらほんまに偶然に見つけた。





心はもう彼に行ってる感じやけど、私は彩ちゃんを離す気はあらへん。


きっと、捨てられたんや…彩ちゃんは。



全てを奪い去られて…




『美優紀はなにも悪くないやん。謝らんでよ…』



彩ちゃんは怒鳴ると我に返ったのか、謝って来た。




この傷だらけの彩ちゃんを私が癒せたら…きっと、また帰ってくる。




「ええねん、それは…とりあえずお風呂入ったら?身体が冷え切ってるやろ。」



『ありがとう…美優紀。』




すると、彩ちゃんは素直にお風呂へ行った。




大丈夫やで、私が心も体も癒してあげるから…
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