長編 禁じられた二人

□episode 5 〜違和感〜
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美優紀side




「渡辺!おまえはいつもやってることが出来ないのか?ちゃんと確認しろっていつも言ってるだろ!大体おまえはー…」

美優紀「すいませんでした…。」

今日、仕事でミスをしてしまった

関係ないことまで引っ張ってきて、ブーブーと文句言ってる上司にひたすら謝って、早く話終わらないかなと心の中で念じた

最近、私にはこの仕事向いていないんじゃないかと思い始めてる

そんな時は決まって大好きなさやかちゃんの声が聞きたくなるんだ

お昼休みに電話してみよっと

彩ちゃん、何しとるんかな?仕事中かな?
それとも寝てるんかな?

さやかちゃんのこと考えとったらいつのまにかお昼休み休憩になっとった

私はいつも通り屋上に行き1人でご飯を食べる

食べ終わってからさやかちゃんに電話をかけた

ープルルルプルルルプルルル

彩「もしもし…」

『あ、さやかちゃん?』

彩「ん。どした?」

『ごめん、もしかして寝てた?』

彩「え?あぁ、うん。で、平日の昼間に電話なんかどしたん?」

さやかちゃんの返答はなんだかめんどくさそうに感じた

『え?あぁ、ごめんね…』

彩「美優紀?」

『ちょっと仕事でミスしちゃってさ…』

彩「大丈夫か?」

『上司にめっちゃ文句言われた…』

彩「そっか…」

『なんか昔のこととか、解決したこととかまで色々文句言われた…』

彩「そんな昔のことまで?」

『関係ないのにさ…』

彩「うん、やから…気にすることないねんで?」

『ありがとう…!!彩ちゃん。やっぱり私には彩ちゃんだけやな〜!』

彩「ふふっ、大袈裟やな?」

『大好きやで、さやかちゃん』

彩「ん。ありがとな」

最近、さやかちゃんは“好き”って言葉を言ってくれなくなった

前にも同じようなことあったな…

あの時は、さやかちゃんの心が他の人に向いていた時やった


彩「美優紀?美優紀聞いてる?」

『え?あ、ごめん。』

彩「ちゃんと聞いててや?少しは元気出た?」

『うん!ありがと!なぁ、もう少しだけ電話しててええ?』

彩「ん?ええで?」

それから他愛もない話をしとった

『ねぇ、次いつ会える?』

彩「うん、そうやな〜?……」

『早く会いたいなー…』

彩「ん、ぅ…ちょっ…と!!」

『さやかちゃん?』

急にさやかちゃんの様子が変わった

彩「んぅ〜っ!!」

『彩ちゃん…?どうしたん?』

彩「んぅ……」

携帯がおそらく床に落ちた音が聞こえた

『さやかちゃん!』

彩「……」

『ねぇ!さやかちゃんってば!返事して!』

彩「ごめん、美優紀…」

『どうしたん?』

彩「あ、えっと…ゴキブリが…」

『ゴキブリ?そりゃ、大変やったな?』

彩「う、うん…逃げられてん。やからちょっと退治するから切るな?」

『えぇ〜…なんやそれ』

彩「だって、嫌やん?な?…」

『まぁ、そうやな?じゃあまた掛けてよ?』

彩「分かった、じゃあ…』

『じゃあね』

そう言うと電話は切れた

さやかちゃん後半、明らかに動揺しとったし…

もしかして誰かと一緒におったとか?

今日は定時で終わるから帰りにさやかちゃんの家に行ってみよ

それからなんとか仕事を終えてさやかちゃんちへ向かった

ーピンポ-ン

「・・・」

あれ?留守なのかな?

ーピンポ-ン

「・・・」

やっぱりいない

寝てるのかな?お風呂かな?

貰った合鍵を使ってさやかちゃんの部屋に入る

『さやかちゃん?お邪魔しまーす…』

「・・・」

彩ちゃんはおらんかった

私は携帯を取り出しさやかちゃんに電話をした

彩「もしもし」

『あ、さやかちゃん!仕事終わった!』

彩「お、おう、お疲れさん」

さやかちゃん、やっぱり様子が変だ

『ねぇ、さやかちゃん今どこおるん?』

彩「え?あ、家やけど?どうしたん?」

『ふーん。私さ今ねー……』
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