長編 禁じられた二人

□episode 4〜延長戦〜
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どんっ!!




「いたっ……」




『あほっ!』




私は夢莉を思い切り押して、離した。



夢莉は後ろにひっくり返ったけど…ソファーの上やからそんなに痛くないはずや。



そして、私はすぐに落とした携帯を拾った。




『ごめん、美優紀…』



(どうしたん?)



『あ、えっと…ゴキブリが…』



「私、ゴキブリなんや…」



夢莉は拗ねた顔でボソッと言った。




(ゴキブリ?そりゃ、大変やったな?)


『う、うん…逃げられてん。やからちょっと退治するから切るな?』



(えぇ〜…なんやそれ。)



『だって、嫌やん?な?…』



(まぁ、そうやな?じゃあまた掛けてよ?)



『分かった、じゃあ…』




そして、やっと電話を切った。




『なんで、急にあんなことするねん!!』



「やって、…寂しかったし。」



『夢莉…』




夢莉は完全に拗ねて、部屋の隅っこにいた。


なんかそれを見てると、可愛くて…




「私やって、嫉妬するんです…彩さんが誰か知らへん人とずっと話してるし。私とのデートやのに。」




私もさっき夢莉が他の子と話してて、かなり嫉妬したなぁ…



それを夢莉もしてくれてるんや。



なんか嬉しいかも。












『ごめんな?』



「………」



『拗ねた?』



「………」



『嫉妬した?』




すると、何も言わないけど…夢莉はうなづいた。



なんやろ…またキュンってした。





ぎゅっ。




『ありがとう…私が一番好きなのは夢莉やから大丈夫やで?』




「ほんと?」


『うん。夢莉は?…』



「ふふっ、私も。」




ぎゅぅっ…




嬉しそうに、さっきとは違って大好きな笑顔で言ってくれた。

そして、強く抱きしめ返してくれてる…


私はいつの間にか、初めて“恋”をしていたんだ。



きっと、こんな気持ち今までない。





夢莉が好きやから…


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