長編 禁じられた二人
□episode 1〜キッカケ〜
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彩side
私の名前は山本彩。25歳。シンガーソングライター。
一応、ギター1本でありがたいことにご飯が食べられるように最近なってきた
最初は路上ライブから始まって、たまたま私の路上ライブを見てたのが今の事務所の社長さん。
元々、ライブハウスとかでライブとかやっとったおかげでインディーズにしてはそこそこ人気のある歌手だ
女社長に気にいられ、すぐにスカウトされてトントン拍子にデビューの話も決まり、今は部屋とスタジオで、デビューアルバムをギター片手にもくもくと作成中
「さやかちゃん!遊びきたで」
玄関から叫んでるこの子は渡辺美優紀
彼女は幼馴染でもあり、私の恋人でもある
小さい時から私の夢を1番に応援してくれて、いつも笑顔で私のことを支えてくれとる彼女
『なんや美優紀か、今取り込み中やからあとにして?』
美優紀「えー、せっかく美味しいご飯作ったろう思うて材料買って来てんで?やから、キッチン勝手に借りるな?」
『今、ちょうどええ曲浮かんどるから忘れへんうちに作成したいからさ、美優紀に構えへんよ?』
美優紀「べつにええよー」
『ちょっ、美優紀!気持ちだけで』
ホンマは違う・・・
今日は“あの子”が部屋に来ることになっとる
やから美優紀が部屋におったら色々マズイんや
『み、美優紀!曲作りひと段落したららこっちから連絡するから、そしたらまたご飯作りに来てくれへんか?』
美優紀「んー、わかった!さやかちゃんの邪魔したくないからまたあとで来るな?曲作り終わったら連絡してな、じゃあ頑張ってな!」
なんとかこれで美優紀にも“あの子”にもバレへんな
“あの子”とは、この前、仕事帰りに変な男の人に絡まれてるところを助けてくれた美少年、いや、少年のような美少女、夢莉。
体を張って私のことを守ってくれて、ケガをしてしまった私を部屋に連れて来てくれて、手当てしてくれた優しい女の子
そして出逢ってその日に体の関係を持ってしまって…いや正確には私の記憶にはないんやけど…
なぜそうなった経緯すら覚えてへんけど…
どうやら私が夢莉を誘惑したらしい…
まったく覚えてへん…
そのあと夢莉から告白され私もその時好きになってたから、付き合うことに・・・
付き合う言うても…私にしたら夢莉は浮気相手にすぎないんやけどな
そう、ただの浮気相手のはずやったんに…