中二病作文

□死
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一年前ぐらいから私は死んでいたらしい。
そんなことを言うとみんなきっと「今生きてるじゃないか。死んでないじゃないか。」と言うだろう。実際、心臓も脳も体も人間として生活できる程度には動いてるし体は生きているとは思う。でもどこかがぽっかりとあいてしまった感覚は死んだと表現するのが一番適切だと私は考えている。

一年前の私に何があったかというのを思い出そうとしても、思い出すべきではないと隠そうとする自分がいてどうにもなかなか思い出しきれない。
ただ覚えているのは、様々なはじめてに触れたということ。触れ過ぎた結果死に至ったということ。その二つぐらいだ。

ここでいう死というのは、じゃあいったいどういうことなんだというのをきちんと言葉に表してみたいと思う。
人間や生物の一般的な死というのは体が機能を停止することだと私は考えている。心臓の動きがとまって、全身が動かなくなって……そういうのが死ではないかと。
機械の死は回路や電子頭脳などの機能の停止あたりだろう。
じゃあ私の死はといったら、それは私という人の機能が停止することである。

一年前ぐらいから様々なはじめてに触れた私は緩やかに死んでいった。私という人が崩れ、どんどん違う人に入れ替わっているようだった。
周りからみたらきっと、入学当初は猫かぶっていたのがだんだん剥がれてきたみたいな感じなんだろうなと思う。でもそれは違うんだと言いたい。私は変わってしまったんだと言いたい。素の私が根っこの私が別人に変わってしまったんだと言いたい。

今私として生きてこうして文章を打っているのは一年前の私とは違う、別人の私であってそれでいて一年前の私であるような不思議な私だ。
絵や文に表現しようとするとひょっこり顔を出してくれる一年前の私と少しずつこうして対話をしていたい。していきたい。だから絵を描くし文章を書く。死と向き合うために。
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