短め

□9.夢
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彩「もう寝るで、名前」


『うん、おやすみ』


彩「うん、おやすみ〜」


撮影が終わり、ホテルでは彩と相部屋になり、ある程度話したところで就寝した。


ーーー
ーー



「い…いーーでーーい!」


『???』


「おーい!いつまで寝てるつもりだい!早く起きないかい!」


『うわぁ!!』


「ほら、早くチェックアウトしておくれ。ほらほら早く!!」


ーーー


『はぁ〜…最悪の宿だったな』


適当に選んだ安い宿だったから仕方ないか。
そう思うようにするしか無かった。



『そんな事より今の状況が問題だな』


目が覚めて(宿屋に無理矢理起こされて)とりあえず外に出てみると、見知らぬ場所、見知らぬ人々…近くには武器屋や防具屋、道具屋と書いた看板があった。


歩いている途中に硝子に写った自分の格好は、よくアニメやゲームに出てくる勇者の様な姿だ。

頭にはターバン、体には銅の鎧、足には皮のブーツ、手には皮の手袋…
そして武器は銅の剣に鍋の蓋が盾……


『これ絶対初期の装備やん!!めっちゃ弱そうやん!』


自分の姿を見て驚いた……より先に戦いがある世界っぽいのに自分の装備が弱そうでそっちに驚いていた。


『とりあえず武器と防具だな』


幸いある程度の金は持っているようで、気になって仕方ない盾を買いに行く事にした。


「いらっしゃい。安くするよ」



鼻っから安くするという人ほど怪しい…


『………とりあえずこれとーーー』


ーーー


『っし!!これで戦いに出れる!』


弱々しい装備を全て売り払い、名前が手に入れたのはこの街じゃ1番良い装備だった。
剣に関しては銅の剣からプラチナソードに代わり、盾なんて鍋の蓋からホワイトシールドなんて洒落た名前に代わっている。


『…夜だしご飯食べて明日行くか』


そう呟きながらUターンして酒屋に向かった。


「へい、らっしゃい!!」


『すみません、生ビールと唐揚げと〜たこわさで』


「あいよ!!」


ガヤガヤ


カウンターに座り、出てきたビールとつまみを飲み食べしながら明日からの事を考えていると、ふいに声をかけられた。


「隣邪魔してええか?」


『あ、はい。どうぞ…って彩??』


「は?何で私の名前……ってそれより君も仲間探しに来てるんか?」


聞き覚えある声だなーと、隣の席に座った女性の顔を見てみると彩にそっくりな女性で驚いたが、彩ではないようだ。見知った人が居て喜びそうになったがすぐに現実を知った。


『…仲間…探しですか??』


「そうや、酒屋は基本的に仲間を探したり、仕事が無いかあそこにある掲示板で見たりする場所なんやで?」


『へぇ…そうなんですね』


「てっきりお姉さんも仲間探しに来てるんかと思ったのに、何や…残念やったわ」


そうかそうか…と肩をがっくし落として席を外そうとする女性の背中があまりにも悲しそうで、つい名前はひき止めた。
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