短め
□11.たまにはいいかも~一般~
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そして退院当日
彩が休みにお世話になった渡辺さんや須田さん、そして担当だった主治医が見送ってくれて、彩は車で駅まで送ると言ってわざわざ休みを取ってくれた。
「退院おめでとう!」
「退院おめでとうございます」
『ありがとうございます』
「ほんなら駅まで送ってくるわ」
「うん、気を付けてな」
「おう」
バタン バタン
車を発進させた彩と名前は互いに何も話さず5分程走ったところで、やっと彩が口を開いた。
彩「なぁ、リハビリってやっぱり東京の病院なん?」
『まぁ、大阪までリハビリに来るのは流石にきついから東京で適当に探してみるよ』
彩「せ、せやな。流石に大阪まで来るんは体力持たへんよな、ハハハ」
『まぁ、帰ってもこんな腕と足じゃ仕事も出来ないから完治するまで家に引きこもりだろうけどね』
彩「え!?そうなん!?」
『あ、うん。昨日電話して状況説明したら会社側は無理して来いとは言えないから自己判断に委ねるってさ』
笑いながら話す名前に彩は後少しで駅に着くのに近くのコンビニの駐車場に車を止めて真剣な表情で名前を見つめた。
彩「名前さんの怪我が完治するまで名前さんの世話させてくれへん?」
『え!?いやそこまで迷惑かけれないよ!』
彩「なら言い方変えるわ。名前さんの怪我が完治するまでの時間、私にくれへんか?一緒に住もう」
『へ??』
彩「私、名前さんに一目惚れしたんや。それから仲良くなる度惹かれてって…やからもっと、おってほしかったんやで!」
『う、うそ…本当?』
彩「せやで!やからもう少し大阪におってくれへんか?」
『うん!一人称も彩さんにいつの間にか惹かれてって…好きになってたけど、東京と大阪じゃ遠いし彩さんモテそうだから諦めようとしてたんだ…』
ギュッ
彩「名前、好きやで。東京に帰るまでの時間いっぱい一緒におろうな」
『うん……入院するのも、たまにいいかもね』
彩「フフッ…そやな。
とりあえず家に帰って、それから服買いに行かなあかんな……時間が勿体ないから飛ばすでぇー!」
キキィー!
ブゥィィイイイン!!!
『ギャー!!』
ーーー
5ヶ月後
「えー…昨日の夜中に緊急搬送されてきました707号室の苗字名前さん。半年前にも入院されてましたが、今回も同じく…山本さん、貴女が担当でよろしくね」
彩「………ぇ…また事故ですか!?」
「いえ、今回は出張先で接待してホテルに戻ったら吐血して搬送されて…胃潰瘍みたいよ」
彩「〜ッハァーー…」
そうなるまで放置していた名前と気付けなかった自分に呆れて盛大な溜め息を吐いた彩の隣に同期の渡辺がやってきた。
「今日からまた一緒におれるんやから良かったやん」ニヤニヤ
彩「良くねぇわ!!;;」