短め
□11.たまにはいいかも~一般~
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「じゃあ、苗字さんがされていた仕事は私達が引き継ぎますのでご安心下さい」
「任せて下さい!それできちんと治して、早く戻って来て下さいね!」
『ごめんね、大阪まで来てもらった挙げ句お見舞い品まで…早く治して早く復帰するから』
「早くって…とにかく無理は禁物ですからね、それでは」
『ハハハッ。ありがとー…』
ガチャン
『ハァー…』
溜め息を吐きながら窓の外を眺める名前は昨日の夜、車に轢かれて難波48病院に緊急搬送された。
幸い命には別状無かったのだが、頭も腕も足も骨折していた為、治るまで東京には帰れそうにない。
ちなみに出張先での事故という事で金は心配無い為、贅沢にも個室だ。
コンコン
「失礼します。苗字さん、体調は良いですか?」
『はい。でも少し痛いです』
「ほんなら痛み止めの点滴をしましょうか」
『はい』
「………チクッとしますねー」
このチクッとする予言からチクッとする痛みがくるまで顔を背け、目を瞑り(たまにチラ見)、全身に力を入れ…今か今かと待つ時間がとても疲れる。
彩「終わりましたよ〜。あ、私、名前苗字さんの担当になった山本彩と言います。今日からよろしくお願いします」
『……あ、はい苗字です、お願いします』
彩「…にしても、苗字さんの注射の嫌がり様って半端ないですね、顔を背けて目をギュッとして(笑)」
『いやいや、皆嫌いでしょ!///』
彩「いや〜ここまでガチガチになるのは子供しか見た事ないですよ(笑)」
顔を赤くしている名前を見て、また笑っている彩。
歳も近いせいか話しやすいが、流石に歳が近い人に注射で弄られて恥ずかしいようだった。
ーーー
彩「名前さん、おはよう。邪魔すんで〜」
『邪魔すんなら帰って〜』
彩「はい、そうですか。って何もせんと帰れへんわ!」
『……どうせ彩さんは注射して笑うでしょ』
彩「それはッ!…やっぱ否定できへんわ(笑)」
『だよねー…今日も注射するの?』
彩「今日は採血やで。あ、昨日は私の代わりに渡辺って人来たんちゃう?その人が言うとったで。愛想が無いって(笑)」
歳も近く話しも合う名前と彩はすぐに仲良くなり1週間後には互いに名前で呼び合う仲になった。
彩が休みの日は代わりに彩の同期の人が来るが、別に仲良くしようとは思わない。彩は直感で仲良くなりたいと思えたけど。
『別に仲良くしたいって思えなかっただけだよ。てか笑い過ぎ』
彩「ごめんごめん(笑) はい、採血終わり!
まぁ、皆名前さんに興味あって悪い人やないから話したってや」
『まぁ、気が向いたら話してみるよ』
よろしくなぁーと言いながら病室を出て行った彩を見送った名前はする事も無く、昼寝をした。