短め
□10.距離~メンバー~
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「さやかさーん!お疲れ様でしたぁ(泣)」
「さ、彩さん…グス…うぅ〜……」
彩「皆お疲れ!ありがとうな!!」
そしてあっという間に時は過ぎ、彩にとって最後の卒業公演が行われた。
それに名前にとっても彩との最後の公演だった。
無事何事もないまま終わった公演。
皆が泣いて彩の周りに集まっている。
だが名前はその輪に入れずに…だからといって先に帰る程、冷淡になれず、あまり使われていたい空き部屋へと身を隠した。
『そういや此処で彩と話してたな』
ポツリと一言溢すと当時の事が脳裏に鮮明に映し出された。
あれは昇格してチームNに配属されたばかりの名前は全てに追われていて余裕が無かった時だった。それに気付いた彩がこの部屋に呼んで相談に乗ってくれた。
それが仲良くなるきっかけだった。
仲良くなった2人の思い出が次々に思い出されて名前の涙を溢れさせた。
『彩のばか……』
彩「泣きながら人の悪口か、ばーか」
『ッ!』
彩「あっちこっち探したわ。ほら帰るで」
『あ……ぅ……』
いきなり現れて、いきなり帰ると手を引かれて…驚いた名前は涙も止まり言葉も出なかった。
ーーー
彩「ただいまー」
『お、お邪魔します…』
おずおずしている名前を座らせココアを差し出して、内心ドキドキの彩も一緒に飲んでいると、とりあえず2人共落ち着いていたようだ。
彩「今までの態度悪かったて反省してる。ごめん」
『さ、やか……い、いきなりどうしたん?』
彩「あんな…名前とあのまま仲良くしとったら絶対卒業するのに後悔するて思ってな。それに名前も私と仲良くしとったら私が卒業した後、どうなるか心配やってん…だからほんま悪いけど予行練習言うかな?卒業した後も大丈夫のように慣らしてたんよ」
ごめんな?って顔の前で両手を合わせて目をギュッと瞑っている彩に名前は唖然としていた。
そこまで考えてくれてた優しさと嫌われたと思って数ヶ月間ずっと悩んでた馬鹿らしさが入り交じっていた。
彩「あ、後な? 卒業したら名前に話しがあったんやで」
まだあるか!と身構える名前を尻目に部屋に何かを取りに行った様で戻って来る時は両手で包んで見えないようにしながら戻って来た。
彩「名前、一緒に住もう。付き合っても無いし、順番バラバラやけど私は名前とずっと一緒に居たいと思ってる」
そう言って名前の手を取ると薬指にシルバーリングを通した。
『ッ!さ、彩…ほんまに??』
彩「名前と距離を置いて分かったんや。私には名前がおらんとあかんねん。身勝手やけど私と一緒におってほしい」
『〜ッ…ほんまや…いきなり距離置かれて、話したくても話せんで、嫌わたんやって悩んでたんやで?ほんまは最初から一人称の事、嫌やったんやって思ったんやで? なのに…』
彩「え!?あ!ご、ごめんな!」
下を向いてグスグスと鼻を啜る音に彩はアタフタしながら謝っている。
それを見て名前は過ぎた事より今からだと思った。
『これからずっと隣におってな?』
彩「当たり前や!離さへんで!」
『もう離された嫌やで?(笑)』