短め

□9.夢
3ページ/3ページ



『彩の気持ちは嬉しいよ?でも一人称は勇者で、ボスを倒す事が任務みたいだから…』


この世界の事を全く分からなかった名前も彩と冒険する中で自分のやらなけばならない事、地図の見方、人の家の壺を割る事が常識、そういう事が分かってきていた。
だから、彩の気持ちに答えてしまったら2人で冒険する事になってしまう…それは難しいと考えていた。


彩「なら、とりあえず最終ボス見に行ってみて無理そうなら仲間増やさへん?」


『え?下見出来るシステムなん!?』


驚き固まっている名前を尻目に彩はルーラで近くまで行き、あっという間にボスの前まで来た。


『ちょっ、彩!装備万全じゃないし、薬草しか持ってないよ!一旦帰ろう!』

凄い焦っている名前の隣で彩は落ち着いている。


そして一言


彩「“ザラキーマ”」


………


“ザラキーマ”とはザキという即死系呪文であり、その上位即死系呪文である。確率はかなり低いが成功すれば一撃で倒せる。
この呪文はまだ彩は使えないはずだった。
それに最終ボスには効かなかったような………


彩「よし、終わったで〜」


『た、倒した…一撃で……』


彩「じゃ、帰るで!」


彩の呪文であっという間に宿に戻った2人。
彩は一仕事終えて少し疲れている様子だ。
一方の名前は未だに開いた口が塞がらないようだ。


彩「って事で終わったんやから気楽にのんびり2人で冒険するで!」


『え……あ、そ、そうだね』


彩「なら、付き合おうや」


『うん…』


ポカーンとして話が上の空の名前の頬に彩はキスをした。


彩「フフッ」


『え!?ちょっ///』


そして彩は名前の頬に手を添え、唇に唇を当てようとした。


ドキッ


「ーろ! はーーーで」


『え?』


バチーン!!


『〜ッ!いっ〜たぁ〜!!』


彩「もう時間無いで!はよ準備しぃや!」


『へ??もう終わったんじゃ…』


彩「何言うてんねん、今日は朝から撮影やで?」


『…冒険は?ボス倒したのは?』


彩「もう、まだ寝惚けてんの?後から話聞くから支度してーや」


『ぁ…うん…』


ほんの数時間の夢が名前にとっては濃厚な夢で、彩を見ると最後に告白されてキス寸前だった出来事を鮮明に思い出されて意識してしまう。


『彩』


彩「ん?さっきの夢の話か?」


『うん、彩と冒険しててな、仲間増やそうって言ったら彩が2人が良いって言ってレベルがまだ低いのに最終ボスを一撃でやっつけてん』


彩「ほ〜…それは凄いな;;」


『その後告られてキス寸前やったんよ…寸前で起こされたんやけどな』


彩「へぇー……なら、夢の続き見せたるで///」


チュッ


『ッ!///』


彩「よう分からへんけど…2人で冒険は出来ひんでも2人でデートは出来るで……ってやば!!集合時間ギリギリや!はよ行くで」


照れながら言う彩は夢の中の彩より魅力的で可愛かった。


『へへ/// 夢でも現実でも大好きやで』


彩「〜あぁ、もう、聞いてるこっちが恥ずかしいわ///」





ーーー




美「あ、彩ちゃん、名前ちゃん、おはよー」


彩「おぅ、おはよう」


『あ、中ボス釣り師』


美「え!?うちの事!?」



夢もええけど…やっぱり夢より現実やな!
次の章へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ