短め
□9.夢
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「へぇ。ならこの世界の事あんまり分からへんのか」
『うん…だから仲間を探したりする余裕が無いから…ごめんね?』
引き止めたは良いが、自分の置かれている状況、この後どうしたら良いか分からない事を素直に話した。
「なら私の仲間にならへん?」
『へ?い、いや…話し聞いてた?;;』
「だから私の仲間になったらええやん。後ろから着いてきてこの世界の事覚えたらええし…って事で、私は彩。魔導師や。よろしくな…えっと」
『あ、一人称は名前。一応勇者だよ。じゃあ、よろしくね彩』
彩「よろしくな、名前」
やっぱり彩って名前なんだ……
よく分からない世界だ。
なんて考えながらも同じ名前、同じ声、同じ容姿、性格もそっくりな彩と出逢って名前も気持ちにゆとりが出てきたようだった。
それから共に行動し、モンスターを倒したりしながら次の街へ進み、またモンスターを倒し、次の村へ進んでいた。
彩「ええか?次は中ボス言うて今までの敵より強うて、ボスよりは劣る…まぁ中途半端な敵や(笑)
まぁ、だから言うて気を抜いたらやられるからな」
『わ、分かった!!』
そう言われて少し強張っていた力が抜けて、変な緊張感が無くなり、戦いに集中出来そうだ。
み「はーい、みるくとみゆきを混ぜるだけ♪あっという間に……みるきーやで〜って何やねん、今の紹介!!せめて中間管理職ぐらい言うてぇな!」
『へ??何か見た目人だし、この人がボスって違うんじゃないかな?』
彩「それがダメやねん!確かに見た目人だから騙されそうになるやろうけどモンスターやで。人を魔性の技で惹き付ける釣り師って名前まであるんやで」
み「やだぁー。それはうちのせいやなくて皆がうちに惚れて付いて来るだけやで?そんな悪い噂立てる子にはお仕置きやな♪」
彩「くるで!」
『うん!』
流石に人型のモンスターを倒すのは気が引けたが、此処は心を鬼にして倒した。
最後は可愛らしく仲間になるから許してって言っていたが、彩の容赦ない“マヒャデドス”という氷の刃を使った攻撃で倒していたが見なかった事にしよう。
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宿に戻り今日の事を話して、ずっと気になっていた事を名前は尋ねた。
『他の冒険者達を見てたら皆4人ぐらい仲間連れてるけど、そろそろ一人称達も仲間を増やした方がいいんじゃないかな?』
彩「まだええんやないか?」
最近たまに仲間を増やそうと提案しても彩は絶対まだ必要無いと言う。
『でも今日のみるきーとの戦いもちょっと苦戦してたし…』
彩「ほら、仲間増えたら楽にはなるけど不便な事もあるし…2人が気楽だからええんちゃうん?」
『でも、もうそろそろ2人じゃきつくなるだろうし1人ぐらい仲間に……』
彩「まだ要らん言うてるやん。私は名前と2人で旅したいんや!2人がきついなら、ここで終わりや」
『さ、彩、何言ってんの?まだボス倒してないよ!?』
彩「一緒に冒険してる間に名前を好きになったんや…好きな人と2人でおれへんなら冒険もせぇへん。戦いも辞める!」
珍しく自分の本音を語った彩に名前は嬉しくもあったが、勇者としての任務を放置出来ないと困り果てた。