短め
□10.距離~メンバー~
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彩「何やっとんねん!大丈夫か?」
『〜い…ったーい……もう恥ずかしいわ///』
彩「ほんまやな!何も無い所で普通転ばへんよ(笑)
ほら」
『もう、そんな笑わんといてーや///』
彩「やって、普通転ばへんよ(笑)」
「ほんま、あの2人仲ええなぁ」
「2人揃ったら、ほっこりするわ」
「そうそう、1人やと普通けど2人揃ったら癒されるな」
喧嘩しても翌日には仲直りして、仕事でもプライベートでもよく一緒にいる名前と彩。
加入時期や年齢は違うが互いに心を許し合っている仲だ。
ドジで天然な名前を彩がフォローし、頑張り屋で無理をする彩のストッパーを名前がしている。
最高なパートナーだろう、と周りも思っていた。
でも…いつからだろう。
彩が名前との距離を作ったのは。
いつからだろうか。
名前も彩に背を向け始めたのは。
きっと彩が卒業発表してからだ。
彩は名前と一緒にいる時間を無くして代わりに皆との時間を増やした。
最初は、しょっちゅうメンバーから聞かれていた。
「彩さん名前さんと喧嘩したんですか?」
「彩さん、はよ名前さんと仲直りして下さいよ。コンビでおったら癒されるんですから」
彩「アハハ、喧嘩してへんよー。これからは絡みが少なかったメンバーとも絡んでいきたい思ってな」
何と聞かれても皆に同じ答えを返す彩に皆も聞かなくなり、次第に名前も視線で追う事が減っていき、終いには彩の背中を見る事すら無くなった。
夢「……名前さん」
『あ…あぁ、夢莉か。どないしたん?』
夢「なんで卒業する前に絡みが少なかったメンバーと仲良くし始めて仲良かった名前さんと距離を置いたんですかね?」
『ん〜…一人称も考えてたんやけど分からへん。でもこれからは彩は1人でやっていくんやから今のやり方がええんやないかな?』
夢「そうなんやろうか?私は最後まで名前さんと彩さんを見ていたかったですよ。私だけやない、皆そうですよ」
『ヘヘッありがとう、でも本人が決めた事やからな』
寂しそうに笑って夢莉の頭を撫でる名前を見て、夢莉は不満気な顔をするも、何も言えなかった。
特に前日に彩からも真逆に聞こえるようで似たような答え聞いていたから何も言えなかった。
ーーー
そして彩の卒業コンサートがあった。
多くのファンが集まり、多くのOB達も集まり盛り上がった。
勿論さやゆーり、さやもも等に負けを取らない人気のさや名前をやると会場を黄色い声援が包んだ。
彩「お疲れ〜、ありがとな」
百「お疲れ、最高やったで」
彩「お疲れ、名前、ありがとう」
『お疲れ様、ほんま綺麗やで』
彩「ありがとう…あ、後少しけど、よろしく頼むわ!夢莉、お疲れー!!」
『あ……ハァー』
卒業コンサートも終わり、舞台裏に捌けて話してもすぐに終わってしまう…いや、いつも通り彩が切ってしまっていた状況に名前はため息をつきながら早々と家路に就いた。