短め

□8.常連客~一般人~
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女性「いらっしゃいませ〜」


店長「へい、らっしゃい」


『こんにちはー!』


女性「今日もいつも通りの時間ね(笑)」


『そりゃあ、一人称は時間厳守ですから』


店長「此処は時間指定はねぇよ」


『あははははっ!(笑)』


やはり常連だ。
だが彩が想像していた人物像とは違って、まだ若くて多分彩と同じぐらいの歳だろう。
明るい性格で可愛らしい女の子だった。
その子は入って来るなり指定席のようで、カウンターに座った…私の隣に


『店長!生1、サガリ1つくね1で』


店長「へいへい」


『ん?初めてのお客さん?』


彩「あ、はい。そうです」


『一人称は名前って言うんだ。よろしくね』


彩「私は彩と言います。よろしくお願いします」


『歳も近そうだし、全く接点無いんだから酒の席だし敬語無しでいこうよ』


ニッコリ笑ってくる名前は酒が入っているのかと思うぐらいフレンドリーで明るい人だ。


パシン


『いて!』


店長「客に絡むな!ほら、つくねと牛サガリだ」


『おっ、サンキュー』


女性「ごめんなさいね、名前ちゃんは人見知りしないタイプだから初対面の人でもあんな感じで」


彩「いえいえ、私は逆に人見知りしてしまうんで、名前さんと話してたら楽しいですよ」


店長「そんな言ったら調子乗ってしまうから止めてくれよ(笑)」


『何だと〜!?』


「「「ははは!(笑)」」」


ーーー


彩「せやねん!東京の人は冷たい!皆が皆やないで?たまに優しい人もおるけどな?基本冷たい人が多いねん!」


『違うよー、彩は運悪く冷たい人ばっかりと出逢ってるんだよ!東京にも優しい人いっぱい居るよ』


彩「そうかー?私が働いてる所にはおらへんよ」


酒も進み人見知りしていた彩も名前と仲良くなり、会社の話になった所で彩は日頃溜まっていたストレスを吐き出していた。


『まぁ、でも一人称は嫌な事があってもその日の内にストレス発散してるよ!』


彩「え?どうやって?毎日は無理やろ」


『此処だよ。此処に来たら嫌な事全て忘れさせてくれるんだ』


彩「………確かにな、仕事の話になるまでは私も忘れたしな(笑) まぁ毎日は無理けど、金土なら来れるし、ええな。その発散法」


『そうでしょー!なら金曜と土曜日は彩に逢えるんだね』


彩「へ??」


『好きになっちゃったから、彩の事。風邪引いてもインフルなっても絶対彩が来る金、土は来るから!』


彩「〜ッ!///」


ストレス発散法からのいきなりの告白にほんのり赤かった顔が耳も真っ赤になってしまった。
一方の名前も自分から言い出して顔を真っ赤にしていた。


女性「幸せそうで良い事だけど、インフルエンザで来るのは止めてね?お客さんも私達にも移されたら困るからね?」黒笑


『は、はい!』


彩「あははははっ!(笑)」



ふらっと寄ってみた昭和レトロなお店。
そこは笑って迎え入れてくれるお姉さんと、不器用だけど優しいお兄さんの夫婦がやっている焼き鳥屋だった。
そして常連客の名前は明るく人懐っこい女の子と仲良くなった。



たまには知らない店に入るのも良いかなと思ったけれど…来週も此処に来ると思う。
だって此処には名前という素敵な人が居るんだから。


ガラガラ


女性「あら、いらっしゃい彩ちゃん」


店長「おっ!らっしゃい!」


彩「こんばんはー!」


此処が私のいきつけの自慢のお店。
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