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□女神様は語りたい
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それはとある日の午後こと。

昼食を終えたライナーとベルトルトは、屋外訓練場の隅に植えられた柏の木に寄りかかり、束の間の休憩をとっていた。

「なぁ、ベルトルト」
「何だい?」
「クリスタって絶対俺に気があるよな」
「…………っ」

何の前フリもなく突然『the 勘違い男』な発言をしだした相棒に、ベルトルトは軽い目眩を覚えた。
フラつきそうになるのを堪え、ため息まじりに彼を見下ろす。

「ライナー、寝言を言う時はせめて目を閉じてくれないか……」
「はぁ?こんな真っ昼間に寝言を言うバカがどこにいるってんだ」

顔の骨格に沿った独特な形状の眉が疑問に歪む。
そんな彼に対し「ここにいるじゃないか」と超絶真顔で言い返してやりたいベルトルトだったが、敢えて口にはせず二度目のため息をつくに留めた。
実直を絵に描いたような相棒にあんな回りくどい言い方は適当ではなかったと、自省も含んだため息だ。

「……どうした?具合でも悪いのか?」
「いや、そういうワケじゃないけど……」
「ならそんなシケた面するな。せっかく俺が明るい話題を提供したってのに……」

腕を組みながらブツブツとこぼすライナーに、つい「あ?( ´Д`)」と反抗的なリアクションをとりそうになったベルトルト。
他人に『シケた面』とか言う前に、まずは自分の『イキった面』をどうにかすべきだろ?──というのが率直な感想なのだが、そこはMr.腰巾着。決して本音を口にしない。
そんなベルトルトの心情に1oも気付かない『イキった面』の勘違い男は、相も変わらずチョイ上目線で言葉を継いだ。

「まぁ、お前はいつもアニばっか見てるからな」
「なっ……!?そ、そんな事──
「クリスタに目がいかないのは仕方ないが、あいつが惚れてるオーラ全開で俺を見つめてるのは流石に気付いているだろ?」
「っ…………」

あくまでも自分の恋話……いや、モテ話にハンドルを切りたいライナー。
そして、閉口するも内心言いたい事ありまくりなベルトルト。
二人の間に微妙な空気が漂ったが、基本KYなライナーは全くそれを察しない。

「かわいい上に健気だからな。きっといい嫁さんになるぞ、あれは……」

厳つい顔を上気させ、ついには二人の将来へと話しを飛躍させる始末。
それを傍らで見ていたベルトルトは、すっかり堪え癖のついた唇を真横に結び、静かに項垂れた。

──このまま僕は……ライナーの思い込み駄話を聞き続けるしかないのか……?

声に出さず自問する。

──そ、そんなの嫌だっ……
頼む……誰かっ……お願いだ……
誰か僕らをみつけてくれっ……!

切なる願いを心で叫んだ、次の瞬間──

「おい、ライナー。お前それ、本気で言ってるのか?」



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